カテゴリー「組織再編・資本の部」

  • 無対価組織再編制~個人同族グループ内の会社の場合に注意

     無対価組織再編成とは株式やその他資産による対価が交付されない組織再編をいい、合併の場合には、①親法人が100%子法人を吸収合併するときや、②100%の兄弟会社が合併するときにおいて、これらの合併の対価の交付が省略されるものが典型的に該当します。

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  • デット・エクイティ・スワップ実行時の登録免許税節税

     財務改善手法として、あるいは相続税評価減対策として、すっかり定着しつつあるデット・エクイティ・スワップ(DES)ですが、増資に係る登録免許税が少なからぬ負担となります。具体的に株式会社は、増資払い込み金額の少なくとも2分の1を資本金としなければならず(会社法445②)、この増加資本金額の0.7%を登録免許税として納税しなければなりません。

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  • 100%子会社の有利な清算方法※1

     平成22年度税制改正により適格現物分配の規定が創設されました※2 。残余財産の分配を適格現物分配によって行うこともできるため、100%子会社の清算方法に、従前からの「①適格合併」、「②資産を全て換価して金銭分配」に、「③適格現物分配」が新たな選択肢として加わったことになります。この3つの清算方法を比較した表が以下です。

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  • 親会社への配当は交付財産次第で源泉徴収不要に

     子会社が親会社に配当した場合には、子会社で源泉徴収義務が生じます。これまでの常識です。ところが、平成22年10月1日以後に100%子会社が親会社に対して金銭ではなく、「金銭以外の資産」により剰余金の配当を行った場合には源泉徴収義務は発生しません。

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  • 新寄付税制と取締役の責任

     平成22年10月1日から適用される新寄付税制によって、下記のような法人による完全支配関係がある法人間の寄付金については、課税関係は発生しません。具体的には、寄付した法人側で損金不算入とされるものの、受贈側では益金不算入とするものです。

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  • 税制改正により創設された適格現物分配の活用と注意点

     平成22年度税制改正によるグループ法人税制の整備に関連して、組織再編税制の一環として適格現物分配の規定が創設されました。

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  • 会社分割の対象にはできない遊休不動産

     会社法において会社分割の対象となるのは、「その事業に関して有する権利義務の全部又は一部(会社法2二十九、三十)」であり、旧商法のように有機的一体性は要件とされていません。

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  • 清算所得課税の廃止による納税者への影響について

     平成21年7月に財務省HPにおいて「資本に関係する取引等に係る税制についての勉強会 論点のとりまとめ」という資料が公表されました。

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  • GCAの「三角株式移転」を用いた経営統合

    東証マザーズ上場のM&AアドバイザリーファームであるGCAホールディングス株式会社(以下「GCAH社」といいます。)は、去る平成19年11月1日、「三角株式移転」を用いて米国カリフォルニア州に本社のあるSavvian,LLC.(以下「Savvian LLC」といいます。)との間で経営統合をすることを同社の取締役会で決定したことを発表しました。

    Savvian LLCはGCAH社と同様にM&Aのアドバイザリー業務を行う独立系投資銀行で、GCAH社はこの経営統合により、クロスボーダーM&Aの取り扱い件数を増加できる体制を整え、海外案件の比率を高めていくことを目指すとしています。

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  • 親会社株式の取得に係る課税関係が三角合併の障害に

    平成19年5月1日から解禁された三角合併は、もっぱら外国企業である親会社の株式を対価として国内企業を買収する場合に用いられることが想定されている制度ですが、国内企業が三角合併を活用するメリットも存在します。

    代表的な活用場面は、国内親会社Aが適格分社型分割によって創設された100%子会社Bにグループ外会社であるC社を吸収合併させる場合で、今後も組織再編等が予想される企業グループが利用するケースです。

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  • 利益積立金のある会社を買収後に解散した場合の節税効果について

    利益積立金のある会社を買収後に解散して残余財産の分配を受けた場合には、親会社において株式の消却損と益金不算入の対象となるみなし配当が実現することによって法人税等の負担が軽減することになりますが、このような取引について税務上の問題は全くないのでしょうか。

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  • 資本剰余金を配当した場合の課税上の取扱い~資本の払戻しとは何か?

    (1)大きく変わった「利益の配当」
    旧商法の利益の配当とは「ある決算期に関する利益を配当する」というものでしたが、会社法では「利益の配当」の概念がなくなり、「剰余金の配当」制度に統合されました。ここで、「剰余金の配当」とは、「剰余金の配当」をする時の株主に一定の金銭等を交付することをいいます 。
    また、会社法上、「剰余金の配当」は分配可能額の範囲内であれば足り、その財源がなんであるかは問題とされません 。

    すなわち、「剰余金の配当」に際して、その他利益剰余金・その他資本剰余金のいずれの剰余金をどれだけ減少させるか(=配当原資の決定)については、会社が任意に定めることができ、かつ、その決定機関について会社法は特に定めを置いておらず、取締役会のほか、代表取締役等が決定することができます 。

    したがって、会社は、分配可能額の範囲内で資本剰余金からも「剰余金の配当」をすることができます。
    以上のことは、①株主に対する資本の払戻しと②株主に対する利益の配当は、会社法の下、「剰余金の配当」として一本化されたことを意味します。

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  • 会計上の「のれん」と税務上の資産調整勘定の差異に要注意

    法人が非適格合併や事業の譲受けによって資産や負債の移転を受けた場合にパーチェス法(売買処理法)による会計処理を行うと、合併法人等が移転を受けた資産・負債の時価純資産価額と交付対価の額との間に差額が生じることがあります。今までは、この差額(のれん)を税務上どう処理すればよいのか、明確な規定が存在しませんでした。ところが、①平成18年4月1日以後開始する事業年度から企業結合会計基準が適用され、企業結合が「取得」と判断されればパーチェス法による会計処理が強制されることとなったこと、②会社計算規則において、合併等に際して時価で取得原価を測定すべき場合には「のれん」の計上が認められたこと、の2点を契機として、平成18年度税制改正において、これらに対応する規定が創設されました(法法62条の8)。

    これは、非適格合併等により合併法人等が交付した対価の額が、移転を受けた資産・負債の時価純資産価額を超える場合のその差額(資産調整勘定)を5年間の月割りで損金算入するという規定ですが、税務上の資産調整勘定と会計上の「のれん」とでは、以下のような差異が見られますので注意が必要です。

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  • 小が大を飲むマジック~フジテレビのLBO~

    ニッポン放送の経営権取得にめどをつけたライブドアが、次はフジサンケイグループの中核企業であるフジテレビ(以下フジといいます。)の掌握を狙うと報道されています。

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  • DES(デット・エクイティ・スワップ)を行った際に債務免除益課税される可能性はあるか?

    DES(現物出資型、以下同じ)を行った場合の債権者側の課税関係は平成15年2月28日に公表された法人税基本通達2-3-14(債権の現物出資により取得した株式の取得価額)により明らかとなっていますが、債務者側の課税関係を明示した法令・通達等はありません。「資本等取引なので債務免除益課税はない」というのが多数説のようですが、課税される可能性があるという意見もあります。私見をまとめてみたいと思います。

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  • 外形標準課税の対象外とするための無償減資

    ~資本金1億円超の会社は利益がなくても外形標準課税により事業税が課されることとなります~

    法人の平成16年4月1日以降開始の事業年度から外形標準課税の適用開始となりました。外形標準課税の適用対象となるのは期末資本金額が1億円超の法人ですから、一番早ければ来年の3月末日の資本金額が1億円を超える法人は、その事業年度において利益がなくても外形標準課税により事業税が課されることとなります。

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  • 外国企業によるM&A(三角合併)の規制緩和が国内組織再編に与える影響

    新聞報道によると、外国企業が日本企業を傘下に収める際、外国企業との直接的な国際株式交換を行うことを認めず、そのかわり、対価として日本子会社を通じた外国株の譲渡を認める方針を固めました(日本経済新聞2004年10月7日)。

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  • 繰越欠損金のある会社を買ってきて節税に活用することは可能か?

    平成13年4月に組織再編税制が導入されるまで、合併時に消滅会社のもつ繰越欠損金を存続会社に引き継ぐことはできませんでした。逆に存続会社のもつ繰越欠損金は合併によって利用制限を受けることはありませんでした。そこで繰越欠損金を持つ休眠会社を存続会社として、黒字会社を消滅させるいわゆる「逆さ合併」が行われてきました。いくつかの判例・裁決で、「合併法人の経営実体が消滅し、被合併法人の経営実体のみが存続している」ことを理由に「逆さ合併」が否認されていますが、逆に合併法人の経営実体がある程度存続していれば問題ないとも判断され、実務上は多くの微妙な「逆さ合併」が行われてきました。

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