2006年のUAPレポート
-
2006年12月21日発行
利益積立金のある会社を買収後に解散した場合の節税効果について
利益積立金のある会社を買収後に解散して残余財産の分配を受けた場合には、親会社において株式の消却損と益金不算入の対象となるみなし配当が実現することによって法人税等の負担が軽減することになりますが、このような取引について税務上の問題は全くないのでしょうか。
-
2006年12月21日発行
匿名組合契約に係る源泉徴収の人数要件が撤廃されました~平成19年度税制改正より
自由民主党が平成18年12月14日に決定した平成19年度税制改正大綱には、匿名組合契約に係る源泉徴収について下記の改正をする旨が記載されています。
-
2006年11月24日発行
資本剰余金を配当した場合の課税上の取扱い~資本の払戻しとは何か?
(1)大きく変わった「利益の配当」
旧商法の利益の配当とは「ある決算期に関する利益を配当する」というものでしたが、会社法では「利益の配当」の概念がなくなり、「剰余金の配当」制度に統合されました。ここで、「剰余金の配当」とは、「剰余金の配当」をする時の株主に一定の金銭等を交付することをいいます 。
また、会社法上、「剰余金の配当」は分配可能額の範囲内であれば足り、その財源がなんであるかは問題とされません 。すなわち、「剰余金の配当」に際して、その他利益剰余金・その他資本剰余金のいずれの剰余金をどれだけ減少させるか(=配当原資の決定)については、会社が任意に定めることができ、かつ、その決定機関について会社法は特に定めを置いておらず、取締役会のほか、代表取締役等が決定することができます 。
したがって、会社は、分配可能額の範囲内で資本剰余金からも「剰余金の配当」をすることができます。
以上のことは、①株主に対する資本の払戻しと②株主に対する利益の配当は、会社法の下、「剰余金の配当」として一本化されたことを意味します。 -
2006年11月24日発行
注目される非居住者認定と平成18年度税制改正による非永住者制度の改正
ここ数年、海外に生活の拠点を有するとして日本での税務申告を行わなかった納税者に対し、国税当局が申告漏れを指摘するケースが相次いで報道されています。
また、課税優遇措置を受けることができる「非永住者」の定義が平成18年度税制改正において改正され、その範囲が見直されました。
これらに共通するのは、高額納税者である個人が国際的な租税回避行為を行うのを防止しようとする動きであるということですが、今後ますます経済の国際化が進む中、軽視することができない論点となりそうです。 -
2006年11月24日発行
平成18年度以後に取引相場のない株式を相続等する場合の留意点
国税庁は、平成18年7月7日付け「会社法の施行及び法人税法関係法令の改正に伴う取引相場のない株式の評価における経過的な算出方法等について(情報)」(以下「情報」という。)及び平成18年10月27日付け「財産評価基本通達の一部改正について(法令解釈通達)」(以下、財産評価基本通達を「評価通達」といい、この改正後の評価通達を特に「改正後評価通達」という。)により、会社法施行等の影響を受けた取引相場のない株式の評価について、平成18年度中の経過的な取り扱いと平成19年度以後の取り扱いを定めました。本稿では、それら取り扱いのうち、「剰余金の配当」を中心に実務に与える影響を考察します。
-
2006年10月19日発行
会計上の「のれん」と税務上の資産調整勘定の差異に要注意
法人が非適格合併や事業の譲受けによって資産や負債の移転を受けた場合にパーチェス法(売買処理法)による会計処理を行うと、合併法人等が移転を受けた資産・負債の時価純資産価額と交付対価の額との間に差額が生じることがあります。今までは、この差額(のれん)を税務上どう処理すればよいのか、明確な規定が存在しませんでした。ところが、①平成18年4月1日以後開始する事業年度から企業結合会計基準が適用され、企業結合が「取得」と判断されればパーチェス法による会計処理が強制されることとなったこと、②会社計算規則において、合併等に際して時価で取得原価を測定すべき場合には「のれん」の計上が認められたこと、の2点を契機として、平成18年度税制改正において、これらに対応する規定が創設されました(法法62条の8)。
これは、非適格合併等により合併法人等が交付した対価の額が、移転を受けた資産・負債の時価純資産価額を超える場合のその差額(資産調整勘定)を5年間の月割りで損金算入するという規定ですが、税務上の資産調整勘定と会計上の「のれん」とでは、以下のような差異が見られますので注意が必要です。
-
2006年10月19日発行
「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」(平成18年9月8日企業会計基準委員会)が不動産証券化にもたらす影響
企業会計基準委員会は平成18年9月8日に「実務対応報告第20号 投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」(以下「本報告」という。)を公表しています。ライブドア事件をはじめとする証券投資ファンド(主に投資事業有限責任組合又は民法上の組合を活用したファンド)に係る不適切な会計処理が問題視されたことから公表された本報告ですが、商法上の匿名組合として組成された投資事業組合も対象になるとされていることから、不動産証券化にも影響を与える内容となっています(但し肝心の投資事業組合そのものは定義されていません)。本報告において、投資事業組合が匿名組合として組成された場合の取扱いは下記の通りとされています。
-
2006年10月19日発行
中間法人法の廃止が証券化スキーム実務に与える影響について
多くの証券化スキームにおいてSPVの株式等を保有するヴィークルとして利用されてきた有限責任中間法人ですが、本年6月2日に公布された一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「新法」という)及び一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下「整備法」という)の施行(施行日未定:公布の日から2年6ヶ月以内(新法附則1))により、その根拠法である中間法人法が廃止されることになりました(整備法1)。
新法施行後の証券化スキームにおいては、有限責任中間法人に代わるヴィークルとして一般社団法人の利用が予想されておりますが、両者はいくつかの点で異なる特徴を有しているため、予め検証をしておくことが必要になります。
-
2006年4月28日発行
LLPに現物出資をした場合の課税関係(その2)
~会計処理と税務調整はどうするか?
UAPレポートVol.11の「LLPに現物出資をした場合の課税関係(その1)」のとおり、LLPに現物出資をした場合には、当該現物出資財産のうち、その出資をした者の持分以外の部分(=他の組合員の出資持分に対応する部分)を、他の組合員に譲渡したことになると考えられます。
-
2006年4月28日発行
支配権逆転のオセロゲーム~相続人等への株式売渡し請求制度
相続人等への株式売渡し請求制度とは、譲渡制限株式につき、相続などの一般承継により株式を取得した者に対し、会社からその株式を会社に売り渡すことを請求する制度です。この場合、会社は、売渡し請求ができる旨を定款に予め定めておかなければなりません。(参考:UAPレポート『新会社法「相続人等に対する売渡しの請求」と事業承継税制』)
-
2006年4月28日発行
既存の有限会社SPCは会社法施行後にどうなるか
証券化スキームにおいてSPVとして多様されてきた有限会社ですが、会社法の施行に伴う有限会社法の廃止(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下「整備法」という)1三)により、会社法施行後は、株式会社として存続する(整備法2)ことになるため、原則として「株式会社」として会社法の規定の適用を受けることになります。
-
2006年4月28日発行
会社法下における各種SPC(合同会社、有限責任中間法人、特定目的会社)の具体的設立手続き
平成18年3月31日付で法務省民事局長は「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて(通達)」を発遣しています。会社法施行期日(平成18年5月1日)以降、ボロワーSPCとして主に活用が見込まれる合同会社の具体的な設立手続きをこの通達に沿って見てみます。
また併せて、会社法施行期日以降における有限責任中間法人と特定目的会社の設立手続きも確認しておきます。
-
2006年4月28日発行
営業者で発生した税務否認金を匿名組合契約に基づき出資者に分配することは可能か
現在流動化スキームにおけるビークルとして広く用いられている匿名組合は、同様にパススルー事業体としての性格が確保されている組合事業体である任意組合とは異なり、営業者が一次的に法人税の課税対象とされることから、営業者段階で税務否認金が生じる場合が想定されます。
この営業者で生じた税務否認金を出資者である匿名組合員に分配することは税務上可能でしょうか。 -
2006年2月24日発行
M&Aにおける退職債務の引き継ぎと「のれん」の計上
ある会社をM&A(非適格合併)した場合、現行税制では、合併法人は資産・負債を時価で購入する処理を行うことになっています。このとき、被合併法人に退職給付引当金等の退職債務がある場合には、合併法人は税務上退職給与引当金を引き継ぐことができません。
-
2006年2月24日発行
DES(デット・エクイティ・スワップ)に係る債務消滅益は課税対象に
DESを行った場合の債権者側の課税関係は法人税基本通達2-3-14により明らかでしたが、債務者側の課税関係を明示した法令・通達等はありませんでした。国税OBも含めて識者によると専ら「資本等取引なので債務消滅益課税はない」と説明され、当局の事前相談窓口でも一定の条件のもとに券面額説に基づく債務消滅益を認識しない処理が認められていました。
-
2006年2月24日発行
有限責任事業組合(日本版LLP)の会計・税務
~出資割合と損益分配割合が異なる場合~
有限責任事業組合(LLP)法では、出資割合と異なる損益分配割合の採用が可能であることが明文化されています。組合員AとBが同額の出資をして事業を行い、その事業から生じた損益を労務の提供度合に応じて3:1で分ける…ということが可能です。これにより有能な人材とスポンサーのマッチングを容易にする等の効果が期待できますが、会計・税務面に着目すると未だに明らかでない点がいくつか見受けられます。
-
2006年2月24日発行
LLPに現物出資をした場合の課税関係(その1)
平成17年8月1日に施行された有限責任事業組合契約に関する法律(以下「LLP法」)において、「組合員は、金銭その他の財産をもってのみ出資の目的とすることができる(LLP法11)」旨が定められており、現物出資の履行が認められていますが、税務上はどのように取扱われるのでしょうか。
-
2006年2月24日発行
新会社法における会社分割
昨年7月に公布された新会社法は今年の5月にも施行される見込みです。
新会社法における会社分割では、合併・株式交換・株式移転といった他の組織再編同様内容面・手続面においてさまざまな改正がなされています。
過去のUAPレポート
- レポート検索