2006年10月19日

「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」(平成18年9月8日企業会計基準委員会)が不動産証券化にもたらす影響

企業会計基準委員会は平成18年9月8日に「実務対応報告第20号 投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」(以下「本報告」という。)を公表しています。ライブドア事件をはじめとする証券投資ファンド(主に投資事業有限責任組合又は民法上の組合を活用したファンド)に係る不適切な会計処理が問題視されたことから公表された本報告ですが、商法上の匿名組合として組成された投資事業組合も対象になるとされていることから、不動産証券化にも影響を与える内容となっています(但し肝心の投資事業組合そのものは定義されていません)。本報告において、投資事業組合が匿名組合として組成された場合の取扱いは下記の通りとされています。

  1. 投資事業組合が、商法上の匿名組合として組成される場合、通常、営業者が当該投資事業組合の財務及び営業又は事業の方針を決定しているため、基本的には匿名組合員が当該匿名組合を連結することはない。
  2. しかし、当該匿名組合に関して、営業者が匿名組合員の緊密な者と認められ、かつ、匿名組合員が当該匿名組合を支配している一定の事実が認められる場合には、匿名組合は当該匿名組合員の子会社に該当し連結の範囲に含まれることとなる。
  3. 匿名組合が、適正な価額で譲り受けた資産から生ずる収益を匿名組合員に享受させることを目的として設立されており、当該匿名組合がその目的に従って適切に遂行されているときは、出資者及び譲渡者の子会社に該当しないものと推定されることとなる。

1.の取扱いは、営業者への一出資形態という匿名組合契約の性格上、当然のことといえます。

2.については、まず「連結財務諸表における子会社等の範囲の決定に関するQ&A」Q13によると、形式的かつ非営利の事業体は緊密な者と解されるとされているため、一般的な不動産証券化スキームにおいては、営業者は匿名組合員の緊密な者となります。次に、「匿名組合員が当該匿名組合を支配している一定の事実が認められる場合」が具体的にどのような場合を指すのかは本報告では明確にされていませんが、匿名組合出資の過半を拠出している場合はこれに該当する可能性があると考えます。

しかしながら、2.にかかわらず、「連結財務諸表制度における子会社及び関連

会社の範囲の見直しに係る具体的な取扱い」において一定の特別目的会社に適用される連結範囲の「例外規定」が、3.において匿名組合にも適用されることが確認されています。

以上より、「例外規定」が廃止されたわけではなく、従来の連結範囲が見直されたわけではないことが確認できます。とはいうものの、開発型の特別目的会社など「例外規定」の対象外と考えられる特別目的会社については、本報告に基づきその連結範囲が厳しく認定されることになると思われます。

2006年10月19日(担当:平野 和俊)

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