2021年のUAPレポート

  • 成年被後見人である取締役に対する役員給与は損金に算入されるか

     会社法の改正により、令和3年3月1日以降、認知症などにより事理弁識能力を欠く人であって後見開始の審判を受けた人(以下、「成年被後見人」といいます。)でも、会社の取締役に就任することができるようになりました。改正前の会社法では、成年被後見人は欠格者として取締役になることができませんでしたが、改正後は、その成年後見人が、成年被後見人の同意(後見監督人がある場合にあっては、成年被後見人及び後見監督人の同意)を得た上で、成年被後見人に代わって就任の承諾をすることによって、取締役になることができるようになっています(会社法331の2①)。

    続きを読む
  • 事業を廃止した子会社の吸収合併で繰越欠損金は引き継げないのか?

     事業継続が困難になった子会社の事業を廃止して、せめて子会社で発生した繰越欠損金を親会社に引き継いで利用したいと考えるのは当然です。特に100%子会社の吸収合併であれば、通常は適格合併となり、その繰越欠損金も引き継げます。

    続きを読む
  • 株式交付は行為計算否認規定の対象となるのか?

     令和3年3月1日に施行された改正会社法により、自社株式を対価として他社を子会社とすることを可能にする株式交付制度が創設されました。

    続きを読む
  • インボイス制度導入で注目される古物許可、宅建免許

     令和5年10月1日から、消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度が導入されます。現在は、消費者や免税事業者から購入しても仕入税額控除の適用を受けることができますが、同日以降は原則として、インボイス(適格請求書)の発行ができない消費者や免税事業者から購入しても仕入税額控除の適用を受けることはできません※1

    続きを読む
  • 直前期末の資本金等の額がマイナス 類似業種比準価額はどうなる?

     直前期末の資本金等の額がマイナスとなった場合の類似業種比準価額の計算方法について、財産評価基本通達では特に何も触れられておりませんので、各比準要素はマイナスのまま計算することになると考えられます。

    続きを読む
  • 業績低迷が長期化するときの株価上昇リスクへの対応

     業種にもよりますが、コロナ不況による一時的な業績悪化により、株式の相続税評価額が大きく下落する会社が増えています。こうした状況は、事業承継を計画している会社オーナーにとって、後継者に株式を有利に贈与する絶好の機会になります。しかし、赤字が長期化すると、予想に反して株価が大きく上昇してしまうことがあるため注意が必要です。

    続きを読む
  • M&Aで株式を買うと7割が損金になる制度の創設
    ~令和3年度税制改正~

     令和3年度税制改正により、一定の中小企業者が10億円以下の株式をM&Aで購入した場合に、その購入金額の7割を損金算入できる「中小企業事業再編投資損失準備金制度」が創設されました。具体的には、M&Aに関する経営力向上計画の認定を受けた中小企業者が、購入金額10億円以下で取得した株式の7割以下の金額を中小企業事業再編投資損失準備金として積み立てたときは、その積立金額を損金算入できるとするもので、計画の認定期限は令和6年3月31日とされています(措法55条の2)※1

    続きを読む
  • 居住用家屋の敷地のみの「おしどり贈与」~贈与税の配偶者控除~

     自宅を妻に相続させたい場合、その敷地面積が広大で小規模宅地等の評価減特例の限度面積(=330㎡)を超えるとき、その超える部分は相続時に80%の評価減を受けられなくなり、結果として相続税の配偶者控除額(1億6千万円か配偶者の法定相続分相当額のいずれか多い金額)を無駄に埋めてしまいます。このようなときに有効なのが、夫婦の間で居住用の不動産を贈与し、「配偶者控除特例」を利用することです。

    続きを読む
  • はっきりしない清算型遺贈に係る譲渡所得課税

     非婚化、無子化の進行により、配偶者や子供といった相続人が存在せず(あるいは疎遠な兄弟・甥姪しか相続人が存在せず)、お世話になった友人や団体に遺産を渡したいというニーズが増えています。このような場合に、死後に遺言執行者に自宅等の遺産を売却してもらい、医療費や葬式費用等を支払った残金を、特定の第三者に遺贈する旨の遺言を作成することがあります。このような遺贈を清算型遺贈※1と呼んでいます。

    続きを読む
  • 思わぬ課税に注意!特別寄与とみなし遺贈

     平成30年の民法相続法の改正により、特別寄与制度が創設され、相続人以外の親族が、被相続人の療養看護等を行った場合、一定の要件のもとで、相続人に対して金銭の支払を請求することができるようになりました。

    続きを読む
  • 新たなグループ再編手法としての株式交付
    ~令和3年度税制改正大綱より~

     令和3年度税制改正により、株式交付※1を利用した株式対価M&Aについて、株式譲渡損益の課税繰延制度が導入されました。

    続きを読む

ページトップへ