2011年のUAPレポート
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2011年12月 1日発行
現物出資受入れ差額の45%控除が認められました
バブルの頃によく行われた事業承継対策で、現物出資を行って含み益を人為的に創出し、その含み益について法人税額等相当額の控除(当時は51%※1 )をして、株式の相続税評価を圧縮する方法(いわゆるA社・B社方式)がありました。
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2011年12月 1日発行
税制改正で大法人と中小法人等との格差は拡大。改めて考えたい減資。
平成23年11月30日、「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律案」が参議院で可決され、成立しました。平成23年度の税制改正大綱に記載されながら、ねじれ国会の影響もあり法案の成立に至らず継続審議となっていた項目のうち、平成23年11月10日の民主党、自民党、公明党の3党による協議の結果、法人税以外の主要な税目が削除されたため、主に法人税が改正の目玉となっております。法人税についての改正内容を改めて確認すると、特に中小法人等(資本金の額1億円以下の法人等として一定のものをいいます。)以外の法人(ここでは「大法人」といいます。)にとっては大きな影響が予想される内容になっています。
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2011年11月 1日発行
海外移住に伴う自社株の処分 ~三角合併を活用した外国株式への転換~
最近、日本を離れ、海外へ移住する富裕層が増えているというニュースをしばしば耳にします。親子で海外に移住し、5年超経過すると、日本国外に所在する財産については、日本の相続税・贈与税は課税されません。移住先が相続税・贈与税のない国・地域であれば、一切の課税を受けずに財産を子孫に残すことができます。
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2011年11月 1日発行
日本脱出と相続税・贈与税のない国
週刊ダイヤモンド2011年10月8日号の特集「日本を見捨てる富裕層」では、日本脱出でオススメする国・地域が紹介されています。ビザ、生活費、治安などの点から選ばれているようですが、ここではこれらの国・地域における相続税や贈与税の有無を調べてみました。こうしてみると、さすが「オススメ」だけあって、相続税や贈与税はほとんどの国で課税されません。産業空洞化の次は、富裕層空洞化ということでしょうか。
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2011年10月 7日発行
海外LPSは租税法上の法人に該当するのか
米国にはリミテッド・パートナーシップ(以下「LPS」といいます。)という事業体があります。これは、米国各州の法律に基づき設立される日本の組合に似た事業活動を営むための組織形態であり、一般に無限責任組合員と有限責任組合員とで構成されます。このLPSは、組合員が拠出した資金や金融機関からの借入金をもとに不動産を購入し運用を行ってその不動産事業の損益を構成員に分配するというスキームでよく活用されています。
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2011年10月 7日発行
事業承継税制~風俗会社等の保有制限要件の緩和と実務への影響
相続が発生したときに、お亡くなりになったオーナーの所有していた同族会社の株式が80%減額評価され、その減額部分の相続税の支払が猶予されるという事業承継の有利な税制度があります。この制度は、非上場株式等に係る相続税の納税猶予制度と一般に呼ばれています。
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2011年9月 6日発行
匿名組合出資持分の譲渡損失は損益通算できるのか?
個人の匿名組合員が営業者から受ける利益の分配は、原則として雑所得となります。これは通達上明確です。では、通達上所得区分が明確でない匿名組合出資持分の譲渡による損失は、他の所得と損益通算できるのでしょうか。
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2011年9月 6日発行
無償返還届と定期借地権設定、同族会社が社長から土地を借りるならどっち?
「同族会社が社長から土地を借りる場合はどうしたらいいでしょうか。」という相談に対するオーソドックスな回答は無償返還届です。本来、同族会社が建物を建てる目的で土地を借りる場合には、借地権相当の権利金を土地所有者に支払わないといけません(支払わない場合には同族法人は借地権をもらったとして受贈益課税されます)。ただし、土地の賃貸借契約書に「借地人の同族会社は土地を返すときは立退料を請求しません。」という条項を入れて、その旨を税務署に届け出たときは、権利金を支払わなくてもよいとされています(この届出を無償返還届といいます)。一方相続税では、土地は利用や処分に制限を受けているとして更地評価の80%がその相続税評価となりますが、評価減されたこの20%部分は借地人である同族会社の株価計算上、純資産価額に加算されます。
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2011年8月 5日発行
生命保険信託とみなし贈与
大手生命保険会社と信託銀行が共同開発した生命保険信託が注目を集めています。
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2011年8月 5日発行
税法における「配当所得」の守備範囲には注意を
平成23年5月31日の東京地裁判決(平成21年(行ウ)第630号)では、ペーパーカンパニーにおける不動産売却収入を株主の口座に送金した取引について、株主に対する配当所得と判示しています。この判決では、過去の最高裁判決を引きながら、①法人が、②その利益から、③その株主等に対し、④株主等たる地位に基づいて供与した利益は、その名目にかかわらずこれを利益の配当たる配当所得に含まれると解することができるとし、商法(会社法)の見地からは不適法なものであっても所得税法の配当に該当すると述べられています。つまり、株主総会の決議を経ていない配当や、株主平等の原則に反する一部株主への経済的な利益供与等であっても、上記の要件を満たすものであれば、所得税法上は配当所得に該当する可能性があります。
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2011年7月 1日発行
やっと決まった平成23年度税制改正の内容
平成23年度税制改正が平成23年6月22日にようやく成立しました。法人税率引下げや相続税増税などの税制抜本改革に関するものは、今回は見送られるとされていますが、よくよく内容を見てみると、政治家の関心が薄そうな増税項目はしっかり残されています。ようやく決まった「本当の」平成23年度税制改正の主な項目は以下のとおりです。
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2011年7月 1日発行
出資関係図、どこまで記載が必要??
平成22年4月1日にスタートする事業年度から、法人が税務署に提出する申告書には、出資関係図といって、その法人と期末に100%資本関係がある法人・個人を図示した書類を添付することになりました。事業年度は通常1年ですから、この5月から6月にかけて確定申告書を提出した法人から添付が本格化しています。
さて、この出資関係図、100%資本関係がある法人・個人をどの範囲まで記載する必要があるのか、疑問に感じた方も多いのではないでしょうか。今回はこの出資関係図にスポットを当ててみたいと思います。
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2011年6月 2日発行
被災者・被災地支援と寄附金控除
甚大な被害をもたらした東日本大震災の発生より2ヶ月あまりが経ちました。「日本には寄附の文化が根付いていない」といった意見も耳にしますが、この度の震災については非常に多額の寄附金※1が集まっているようです。このレポートでは、「被災者の支援、被災地の復興のために効果的に寄附をしたい」という方のために、個人が寄附をした場合の税制上の優遇措置についてまとめたいと思います。
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2011年6月 2日発行
実質3.5年の海外移住で国外資産の贈与税が無税に
我が国の相続税法によれば、贈与を受けた人と贈与をした人の「住所」が共に5年以上国外にあれば、この人たちの間の「国外財産」の贈与には、贈与税が課税されないことになっています。
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2011年4月25日発行
金商法改正で不動産流動化が動き出すか?
金融商品取引法の改正案が国会に提出されていますが、その中に「プロ等に限定した投資運用業の規制緩和」という注目すべき改正案があります。現行法で投資運用業を行う場合には、販売勧誘について第一種金融商品取引業(組合出資持分等については第二種金融商品取引業)の登録、運用について投資運用業の登録が必要です。投資運用業の登録要件は投資家保護の観点から厳格かつ画一的であり、投資家がプロだけに限定している場合であっても未登録業者は投資運用業を行うことはできませんでした。そこで今回の改正で、投資運用業の登録要件を一部緩和した適格投資家※1 向け投資運用業(投資運用業のうち、全ての運用財産に係る権利者が適格投資家のみであって、その総額が一定の金額を超えないもの)という特例を新設することで、投資運用業の立上げを促進することにしたようです。
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2011年4月25日発行
任意組合を利用した実質的な損益通算
任意組合の組合員の所得計算は総額方式を原則としながらも、継続適用を前提として中間方式又は純額方式によることも許容されています(所基通36・37共-20)。中間方式又は純額方式によると、引当金などの一定の適用を受けることができないことから、一般的には総額方式が有利とされています。
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2011年4月 5日発行
無対価組織再編制~個人同族グループ内の会社の場合に注意
無対価組織再編成とは株式やその他資産による対価が交付されない組織再編をいい、合併の場合には、①親法人が100%子法人を吸収合併するときや、②100%の兄弟会社が合併するときにおいて、これらの合併の対価の交付が省略されるものが典型的に該当します。
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2011年4月 5日発行
原状回復費用の見積計上は被災地復興の一助になるのか
東北地方太平洋沖地震により被災された皆様には、心よりお見舞い申し上げます。
東北・関東地方に物件をお持ちで、被害を受けた方々も多くいらっしゃると思いますので、今回のレポートでは、今般のような震災で、法人の保有する物件が被災し原状回復費用を支出した場合の税務上の取り扱いについて説明します。
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2011年3月 1日発行
デット・エクイティ・スワップ実行時の登録免許税節税
財務改善手法として、あるいは相続税評価減対策として、すっかり定着しつつあるデット・エクイティ・スワップ(DES)ですが、増資に係る登録免許税が少なからぬ負担となります。具体的に株式会社は、増資払い込み金額の少なくとも2分の1を資本金としなければならず(会社法445②)、この増加資本金額の0.7%を登録免許税として納税しなければなりません。
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2011年3月 1日発行
消費税の益税包囲網、今回のターゲットは?
現在開催中の国会に提出されている「所得税法等の一部を改正する法律案」では、消費税還付スキーム封じが図られた平成22年度税制改正(2010年1月28日UAPレポート参照)。 に続き消費税の益税防止策が2つ盛り込まれています。一つは免税事業者の要件見直し、もう一つは課税売上割合が95%以上の場合の仕入れ税額全額控除に条件をつけるというものです。ここでは前者の免税事業者の要件見直しについて取り上げます。
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2011年2月 3日発行
H23.3月期が100%子会社株式の解散時評価損計上のラストチャンス
債務超過の100%子会社株式について評価損を計上しその後解散した場合には、現行税制上、親会社は子会社株式評価損を損金に算入した上、子会社の未処理欠損金を引き継ぐことができます。この課税関係には、損失を二重に取り込むことができるとういう問題点があり、近い将来に改正される可能性が高いと考えられていました(参照 2010年11月4日UAPレポート)。
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2011年2月 3日発行
平成23年度税制改正であらためて注目される小規模宅地等の重要性!
平成23年度の税制改正大綱が公表され、相続税は大増税となることが確実になりました。その中で最も増税額が大きいと試算される基礎控除額引き下げについてみてみましょう。
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2011年1月 7日発行
100%子会社の有利な清算方法※1
平成22年度税制改正により適格現物分配の規定が創設されました※2 。残余財産の分配を適格現物分配によって行うこともできるため、100%子会社の清算方法に、従前からの「①適格合併」、「②資産を全て換価して金銭分配」に、「③適格現物分配」が新たな選択肢として加わったことになります。この3つの清算方法を比較した表が以下です。
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2011年1月 7日発行
海外資産運用会社のタックスヘイブン対策税制逃れは封じられるのか?
平成23年度税制改正大綱によりますと、複数の税率の中から納税者と税務当局等との合意により税率が決定される税について、最も低い税率を上回る部分は、いわゆるタックスヘイブン対策税制の適用上外国法人税に該当しない、とする改正があります。
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