2011年2月 3日

平成23年度税制改正であらためて注目される小規模宅地等の重要性!

 平成23年度の税制改正大綱が公表され、相続税は大増税となることが確実になりました。その中で最も増税額が大きいと試算される基礎控除額引き下げについてみてみましょう。

 この改正により課税件数は1.5倍に増加すると見込まれています。したがって、今まで相続税を意識したことのない、相続対策をしてこなかった層にまで申告の裾野が広がることになります。今後はこのような方も相続を見据えて対策を立てることが大切です。特に、一般的な相続対策である「小規模宅地等の特例」と「配偶者の税額軽減」は、富裕層でなくとも多くの人が普通に利用すべき節税手段の王道です。

 しかし、小規模宅地等の特例は、平成22年度の税制改正で適用範囲が縮小されたため注意が必要です。ここで具体的に、父親が所有する自宅(土地の面積;240㎡以下)で生活する両親と、その両親とは別に自宅を所有して生活する子供、という一般的なケースで、父親が所有する自宅の土地を子供が相続する方法について考えてみます。

 1次相続で父親について相続があった場合、昨年度の税制改正前は、父親の所有する自宅の土地は母親が持分のごく一部を相続し、残余を子供が相続することで、その土地全体に小規模宅地等の特例の適用を受けるという対策をしていました。
しかし、去年の税制改正により、この方法では母親が相続した持分のみしか小規模宅地等の特例の適用を受けられないこととなりました。子供が小規模宅地等の特例の適用を受けて相続するためには、①相続前から両親と同居しておくこと、または②3年以内に子供夫婦が持ち家を所有していないことが必要となります。

 心情的に父親の自宅は母親が相続したいというケースであれば、1次相続では母親が父親の所有していた自宅の土地について小規模宅地等の特例の適用を受けて相続します。ただし、この場合、次の相続で子供が小規模宅地等の特例の適用を受けて母親から自宅を承継するためには、上記①②の対策が2次対策として必要となります。

 このように、居住の形態1つによって特例の適用の有無で相続税額は大きく変わります。大増税必至の平成23年度の税制改正ですが、こんなときこそ、小規模宅地等の特例の適用が受けられるように、事前に十分に検討して、相続発生時には確実に要件を満たしておきたいものです。

2011年2月4日 (担当:川村 崇)

 

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