2017年のUAPレポート

  • 一般社団法人等を活用した相続対策で見直しが必要に
     ~平成30年度税制改正大綱より~

     平成29年12月14日に公表された平成30年度税制改正大綱によると、親族※1が理事の過半を占める一般社団法人等※2において、理事(相続開始前5年以内に退任している理事を含む。)が死亡した場合には、一般社団法人等がその純資産額(親族理事が複数いる場合にはその数で除した純資産額)を、被相続人から遺贈により取得したものとみなして、相続税が課税されることとなりました。この改正は平成30年4月1日以後の理事死亡から適用されますが、同日前に設立された一般社団法人等については、平成33年4月1日以後の理事死亡から適用されます。

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  • 返還された有料老人ホームの入居一時金は本来の相続財産か

     有料老人ホームに入居するときには、一般に、入居一時金を支払う必要があります。入居者本人が支払った場合でその後相続が開始したとき、入居契約に基づいて計算された返還金が指定された受取人に支払われることがあります。

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  • 《所得拡大税制を考慮した欠損金引継ぎ方法の選択》

     以下の状況の2つの法人があります。
     ・A社は業績好調で継続的に所得が出ており、納税している。
     ・B社は2~3年前から業績が悪化し、その後規模の縮小、リストラを続けて欠損金が累積している。

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  • 《委託者の地位承継と不動産流通税》

     信託契約書の作成にあたり悩ましいことの1つが、委託者の地位をどのように定めるかです。委託者の地位は、信託契約書に定めることで、委託者死亡により消滅させることも、受益者など特定の者に承継させることもできます。委託者の地位を承継した者は、受託者の解任権などの委託者固有の権利を持ちますので、この権利を消滅させるべきか、承継させるとして誰に承継させるべきか悩ましい問題となるわけです。

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  • 転換社債による株式保有特定会社のがれの否認~財産評価基本通達の改正

     平成29年の税制改正大綱を受け、株式保有特定会社※1の判定基準に新株予約権付社債を加える財産評価通達の改正案が先日明らかになりました。この改正案は、パブリックコメントを受けた後に最終決定され、平成30年1月1日以後の相続等により取得した財産の評価に適用することとされています。

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  • 海外移住と日本国籍離脱による相続税節税にメス
    ~平成29年度税制改正より~

     平成29年度税制改正では、かねてから国税当局が問題視していた海外移住や日本国籍離脱を活用した相続税の節税策に制限がかけられると共に、日本駐在外国人の予期せぬ相続税負担を避ける措置が設けられました。改正内容は以下の通りです(相続税のみを記載していますが、贈与税でも同様の改正が行われています)。

     平成29年度税制改正内容

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  • <事例で確認する広大地評価の変更による影響>

     平成29年度税制改正大綱に記載された「広大地の評価について、現行の面積に比例的に減額する評価方法から、各土地の個性に応じて形状・面積に基づき評価する方法に見直すとともに、適用要件を明確化する。」という文言に基づいた財産評価通達の改正案に対するパブリックコメント※が2017年7月21日に締め切られ、近く発遣される見込みです。この改正案によると、広大地評価の適用要件が明確化され、広大地に該当するかどうかの判断が容易になる一方で、評価の減額効果は縮小が見込まれます。ここでは、具体的な事例に基いて、改正の評価額に与える影響を確認したいと思います。

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  • 「歩道状空地」の相続税評価が変わりました

     マンションなどの建設に際し整備される「歩道状空地」が、評価通達24 の「不特定多数の者が通行する私道の用に供されている」宅地に該当し評価減できるかについての裁判で、国側勝訴の高裁判決を最高裁が破棄したことは以前のUAPレポート(※1)でお伝えしたとおりですが、その差戻し審における口頭弁論で、国側は本件更正処分を全部取り消すことを示しました。

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  • 平成29年分の類似業種目別株価等(1・2月分)が公表されました
    ~平成29年度税制改正の影響や如何に~

     国税庁は平成29年6月13日付で、平成29年分の類似業種目別株価等(1・2月分)を公表しました。平成29年度税制改正大綱において、「類似業種の上場会社の配当金額、利益金額及び簿価純資産価額について連結決算を反映させたものとする」とされていたところ、ようやくその影響が具体的な数値として分かりました。

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  • 高額特定資産の取得と簡易課税制度の適用

     事業者が消費税の納付税額を計算する際、中小事業者の事務負担への配慮から、簡易課税制度が設けられています。基準期間の課税売上高が5,000万円以下であり、かつ消費税簡易課税制度選択届出書を事前に提出している事業者が簡易課税制度の適用を受けることができます。

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  • 節税目的の養子縁組は有効か?

     現在有効な相続税の節税対策の1つに養子対策があります。養子縁組をすれば、実子がいる場合は1人が、実子がいない場合には2人が法定相続人の数に加えられ基礎控除額が増加し、また、各人が取得する金額が細分化され累進税率の適用が緩和されるため、相続税の効果的な節税が可能となります。

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  • 即時償却もできる中小企業経営強化税制~平成29年度税制改正で創設~

     平成29年度税制改正で創設された「中小企業経営強化税制」は、平成29年3月31日に廃止された生産性向上設備投資促進税制(平成28年4月~平成29年3月間の取得について50%特別償却など)と似た制度であり、しかも即時償却も可能な税制としてパワーアップされています。

     生産性向上設備投資促進税制と異なる点としては、建物が対象外となっていることや、指定事業が定められていることがあります。このため、全量売電による太陽光発電設備の導入は本税制の対象外となっています。

     また手続き上の留意点としては、設備の取得までに工業会等や経済産業局の確認を受けることに加えて、「経営力向上計画」について担当省庁から認定を受ける必要があり、これまで以上に余裕を持って手続きする必要があります。これらの確認・認定のサポート役となる経営革新等支援機関(税理士など)には投資計画段階から相談したほうが良いでしょう。

    <中小企業経営強化税制(平成29年4月1日~平成31年3月31日>

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  • 当社も大企業の仲間入り?~取引相場のない株式評価の見直し~

     平成29年度の税制改正では、相続税における取引相場のない株式の評価の見直しが盛り込まれ、平成29年3月1日に改正内容の具体案が明らかになりました。今回の改正内容は①類似業種比準方式の見直し、②評価会社の規模区分の金額等の見直しと大きく2つに分かれますが、ここでは後者について取り上げます。

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  • 歩道状空地は私道として評価減できるのか

     大規模の集合住宅を建築するなど土地開発が行われる際に、開発許可あるいは容積率や建ぺい率等の緩和の条件として、道路に接する自己所有の宅地の一部につき、堀や壁で遮断せずに一般人が自由に通行できるような区域として設置することを、自治体に求められることがあります。このような区域を歩道状空地といいます。

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  • 会計検査院が問題視した国外中古建物の減価償却費

     少し前の話となりますが、会計検査院は平成28年11月7日に公表した「平成27年度決算検査報告」において、国外中古建物を利用した個人所得税の「節税策」を問題視し、財務省に対して税制改正の検討を促しました。

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  • 【事業承継税制】「贈与税の納税猶予制度」と「相続時精算課税制度」の併用

     平成29年度の税制改正で、事業承継の際の「贈与税の納税猶予制度」の適用対象となる贈与に相続時精算課税制度に係るものが加えられました。事業承継への早期取組を促すために、生前贈与の特例を強化し、多くの人に使ってもらおうという趣旨です。

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