2017年8月31日
海外移住と日本国籍離脱による相続税節税にメス
~平成29年度税制改正より~
平成29年度税制改正では、かねてから国税当局が問題視していた海外移住や日本国籍離脱を活用した相続税の節税策に制限がかけられると共に、日本駐在外国人の予期せぬ相続税負担を避ける措置が設けられました。改正内容は以下の通りです(相続税のみを記載していますが、贈与税でも同様の改正が行われています)。
平成29年度税制改正内容
改正前の制度 | 改正内容 | |
① | 被相続人と相続人の両方が国外移住して5年経過すれば、国外財産について日本の相続税は課税されない。 | 5年経過ではなく10年経過とされた。 |
② | 外国で出生した相続人が日本国籍を喪失することにより、被相続人の国外移住直後の相続(国外居住5年超要件不要)でも国外財産について日本の相続税は課税されない。 | 被相続人について、相続人が日本国籍者である場合と同様に国外居住10年超要件が必要とされた。 |
③ | 日本で一時的に就労している外国人に相続が発生した場合でも、国外財産について日本の相続税が課税される。 | 短期滞在の外国人に係る相続については、日本国内財産のみが相続税の課税対象とされた。 |
この改正により端折って言えば、①日本人は親子で10年以上海外移住しないと日本の相続税から逃れられない、②相続人が相続税のために日本国籍を離脱するメリットは自分の国外居住10年超要件がなくなるだけである、③短期滞在外国人は日本の相続税の心配なく日本に駐在できる、となりました。
改正後の相続税等の納税義務の範囲は下記の通りとなります。
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