2010年のUAPレポート
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2010年11月 4日発行
保証金の持ち回りをした場合の税務会計上の取扱い
賃貸不動産の売買があった場合に、買主は不動産の取得と同時に売主が賃借人に対して有している敷金や保証金(以下、「保証金等」といいます。) の返還債務を引き継ぐことになります。そのため売買時に保証金等相当額と売買代金を相殺する方法や売買代金とは別に保証金等相当額の決済をする方法により保証金等の精算が行なわれます。例えば、売買代金1億円、預かり保証金500万円の不動産売買では、相殺後の9500万円で決済したり、1億円の決済とは別に500万円の決済をしたりします。この場合、売買代金の決済と保証金等の精算は別取引ですので、税務会計上、売主の不動産譲渡対価は1億円となり、買主の不動産取得価額も1億円となります。
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2010年11月 4日発行
100%子会社株式の消滅損と評価損
平成22年度の税制改正によって、清算所得課税が廃止になり、100%子会社の清算の税務が大きく変わります(参照 2010年4月1日UAPレポート)。
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2010年10月 5日発行
親会社への配当は交付財産次第で源泉徴収不要に
子会社が親会社に配当した場合には、子会社で源泉徴収義務が生じます。これまでの常識です。ところが、平成22年10月1日以後に100%子会社が親会社に対して金銭ではなく、「金銭以外の資産」により剰余金の配当を行った場合には源泉徴収義務は発生しません。
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2010年10月 5日発行
新寄付税制と取締役の責任
平成22年10月1日から適用される新寄付税制によって、下記のような法人による完全支配関係がある法人間の寄付金については、課税関係は発生しません。具体的には、寄付した法人側で損金不算入とされるものの、受贈側では益金不算入とするものです。
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2010年9月 3日発行
グループ法人課税と無利息融資
平成22年10月1日からグループ法人税制が適用されると、完全支配関係がある内国法人間の寄附金について、寄附金を支出した法人において全額損金不算入(法法37②)とされ、これを受領した法人において全額益金不算入(法法25の2)とされます。
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2010年9月 3日発行
税制改正により創設された適格現物分配の活用と注意点
平成22年度税制改正によるグループ法人税制の整備に関連して、組織再編税制の一環として適格現物分配の規定が創設されました。
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2010年8月 2日発行
平成22年10月1日以降に同一の一般社団法人によって倒産隔離されたSPC間で資産譲渡を行った場合はどうなる?
平成22年度税制改正で創設されたグループ法人税制においては、平成22年10月1日以降に、完全支配関係(※1)にある内国法人間で譲渡損益調整資産(※2)を譲渡(以下「100%グループ内譲渡」といいます。)した場合には、譲渡損益を一定の時点まで繰り延べることとされました(法法61の13①)。同一の一般社団法人により倒産隔離のためその出資持分のすべてを所有されるSPC間で譲渡損益調整資産の譲渡を行った場合には、同改正の適用を受ける事になりますが、その際には譲渡損益を認識するタイミングについて注意が必要です。
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2010年8月 2日発行
納税者有利に改正された45%控除
~純資産価額方式における法人税等相当額~平成22年度税制改正における清算所得課税廃止(法人税法)を踏まえて財産評価基本通達が改正されました。これまで、非上場株式を評価する場合の純資産価額方式における法人税等相当額は、含み益に42%を乗じていましたが、平成22年10月1日からは含み益に45%を乗ずることになります。
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2010年6月29日発行
寄附修正事由による子会社株式の簿価修正
平成22年10月1日以後、法人による完全支配関係がある100%グループ内の法人間で寄附金が生じた場合には、寄附金を支出した法人において全額損金不算入(法法37②、法法81の6②)とされ、また、これを受領した法人において全額益金不算入され(法法25の2)、かつ、その金額が利益積立金額に加算される(法令9①一二)ことになっています。
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2010年6月29日発行
不動産流動化、イグジットでの源泉徴収義務にご注意を!
最近、GK-TKスキームによる不動産流動化のイグジットでよく目にするケースがあります。それは、①LTVやDSCRなどの指標が基準値に抵触して、または②リファイナンスの条件として、配当停止となったため、毎期の匿名組合決算で継続して利益分配額が発生していても金銭が交付できない状態(以下、「未払分配金」といいます。)が継続し、イグジットでは厳しい不動産売却交渉を経て売却損が発生した結果、最終的に匿名組合員へ未払分配金および元本の一部または全部の支払が行えないケースです。
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2010年5月26日発行
スイスPBのフィデューシャリー預金(fiduciary deposit)と税金
スイスは国内法で銀行預金の利子に35%の源泉税を課しており、日本との租税条約をもってしても限度税率10%を超える25%の還付請求しかできないはずですが、スイスのプライベートバンク(PB)で外貨預金しても、源泉税は課されません※1 。どうしてでしょうか?
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2010年5月26日発行
100%グループ内における適格分割と譲渡損益の繰延の有利判定
2009年3月4日付UAPレポート「グループ法人課税制度と相続税株式評価」の通り、平成22年度税制改正により、100%グループ内の法人間の資産の譲渡取引等の譲渡損益の繰延の規定(法法61の13)が設けられました。
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2010年4月28日発行
小規模宅地等の特例の改正により相続税対策は大幅な見直しが必要
平成22年度税制改正で小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(以下「小規模宅地等の特例」といいます)が大きく変更されました。小規模宅地等の特例については、これまで課税された申告書の被相続人のうちこの特例を適用している申告書の被相続人の割合が90%を超え(※1)、また、相続税対策としても活用されてきましたが、改正により適用要件が厳格化され、これまでのような節税効果が期待できなくなりました。そのため、改正前の小規模宅地等の特例の適用を前提とした相続税対策を行っていた場合には、大幅な見直しが必要となります。以下主な改正内容と今回の改正により適用されなくなるケースについてまとめてみます。
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2010年4月28日発行
グループ法人税制の適用と従業員持株会
平成22年度改正により、平成22年10月1日以後の取引について、100%グループ内の法人間の取引等に係る規制(以下「グループ法人税制」という。)が適用されることになります。これにより、100%グループ内の法人間の資産の譲渡に係る譲渡損益が繰り延べられることになり、いわゆる「損出し」「益出し」ができなくなります。
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2010年4月 1日発行
子会社の有利な清算方法
~平成22年10月からグループ法人税制の適用を受けるべきか否か~平成22年10月からグループ法人税制が施行されます。子会社を解散したい親会社はどのような方法によるべきでしょうか。下記では3パターン(①子会社の適格合併、②100%子会社の清算、③100%ではない子会社の清算)について、改正法人税法から読み取れる欠損金引継ぎ及び株式消却損計上の課税関係を比較してみます※1 。なお、いずれの場合も欠損金の引継制限は考慮しません。
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2010年4月 1日発行
商品ETF(債券型)の譲渡益が非課税から課税に変更
~インデックスリンク債の取扱いは?~ETFセキュリティーズ社が東証に上場している商品ETF(債券型)の譲渡益は、従来非課税とされていましたが、平成22年4月1日からは総合課税の譲渡所得となります。これは、平成22年度税制改正によって、「利子が支払われない公社債(割引発行によるものを除く。)」が譲渡非課税とされない債券として追加されたためです。
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2010年3月 4日発行
当初出資金額よりも廉価で匿名組合出資を譲受けた法人が匿名組合分配損
失を受けた場合の取扱い昨今の不動産市況の急速な悪化に伴い、SPC(営業者)への一般的な匿名組合出資※1を通じて保有している物件の価値が大幅に下落しています。また、借入返済期限までに物件を売却できず、リファイナンスを余儀なくされ、SPC(営業者)の借入金の金利負担も増大しています。これらのことから、上場会社等は、引き続き物件を保有する場合の連結上の減損損失発生や金利負担増を防ぐため、匿名組合出資を当初出資額よりも廉価で連結子会社以外の会社に譲渡し、SPC(営業者)を連結対象外とする場合があります。
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2010年3月 4日発行
グループ法人課税制度と相続税株式評価
平成22年度税制改正により、完全支配関係がある法人の間の取引に係る税制が整備され、いわゆる「グループ法人課税制度」が導入されることになりました。
この新制度の各種規制のうち、多くの法人に大きな影響を及ぼす規制は次の二つです。
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2010年1月28日発行
個人が平成21年中に取得した土地等について先行取得土地等の届出書を提出する際には一考が必要な場合も
2009年6月30日UAPレポートでご紹介したとおり、不動産所得、事業所得または山林所得を生ずべき業務を行う個人が平成21年中に土地等を取得し、一定の要件を満たす場合には、平成22年3月15日までに租税特別措置法第37条の9の5第1項の規定による先行取得土地等の届出書を提出しておくことがおすすめです。取得年の翌年以降10年間、土地等の譲渡益(事業の用に供しているものに限られます。)について最大8割の課税の繰延べができる効果に加えて、特例の適用を実際に受けるか否か、特例の対象とする土地等が複数ある場合の選択について後日柔軟な対応が可能なことがその主な理由です。
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2010年1月28日発行
不動産流動化のイグジット(出口)にご注意を!
~平成22年度税制改正 消費税の仕入れ税額控除適正化措置~2009年11月25日UAPレポートでお伝えしました消費税還付スキーム封じの改正内容が、平成21年12月22日に政府から発表された税制改正大綱で明らかになりました。本稿では、この改正の内容と不動産流動化への影響をご紹介します。
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