2015年8月17日

欠損填補に伴う無償減資で法人住民税均等割が減額?税制改正のまとめ

 前回UAPレポートに続いて、法人住民税均等割に関する税制改正を取り上げます。

 平成27年4月1日以降開始事業年度の法人住民税均等割については二つの改正がされており、前回レポートで紹介した改正点の他、無償増減資等があった場合の「資本金等の額」の加減算措置が設けられました。どういうことかと言いますと、法人が株主から払い込まれた資本金等をマイナスの利益の蓄積である欠損金の填補に充てた場合に、これまでの取り扱いでは会計上の資本金等は減額される一方で、税務上の「資本金等の額」については減額されなかったのですが、今回の改正により法人住民税均等割の計算上も減額されることになりました。利益準備金・利益剰余金を原資に資本金を増額する、いわゆる無償増資については同様の考え方により増額されます。この改正の内容をまとめると次のようになります。

 ここで留意したいのは、この改正が適用されるのは平成27年4月1日以降開始の事業年度の法人住民税均等割の計算からですが、過去に行われた無償の増減資等についてもその計算上考慮するということです。数年前の未曾有の景気減退に襲われた際に欠損填補と増資で乗り切ったものの均等割の負担増加に苦しんでいたような法人については朗報です。この加減算措置が適用される法人は、その増減資等の事実・金額を証明するため申告書に株主総会議事録等の添付が求められます。

 もう一つ留意したい点は、会社法が施行された平成18年5月1日以降の損失の補填については、資本金または資本準備金の額を資本剰余金に振り替えてから1年以内に行う必要があるということです。組織再編により生じた資本剰余金を損失の補填に充てたケースや、資本金や資本準備金を資本剰余金に振り替えてから1年超を経過して損失の補填に充てたケースでは、法人住民税均等割の計算上「資本金等の金額」は減額されませんので注意が必要です。

 また、合同会社のような持分会社については加減算措置がありません。

 最後に適用開始の時期についての留意点です。平成27年4月1日以後開始の事業年度からということは前述しましたが、適用初年度に中間申告をする場合は前事業年度の納税額を基礎として申告する「予定申告」と期首から6ヶ月間を1事業年度とみなして仮決算を行った結果に基づいて申告する「仮決算による中間申告」により計算が異なります。「予定申告」の場合は、経過措置により、前期と同様改正前の「資本金等の額」により均等割額を計算する一方、「仮決算による中間申告」では期首から6カ月経過時点の改正後の計算により「資本金等の額」を計算します。

2015年8月17日 (担当:吉田 暁弘)

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