2005年11月16日

新会社法施行で有限会社の代わりに使われる不動産流動化ヴィークルは何か

自民党の法務部商法小委員会によると会社法の施行日が平成18年5月を目途とされており、いよいよ会社法に対する備えを本格的にすべき時期になってきました。平成18年5月以降の不動産流動化はどのようなSPVを活用することになるのでしょうか。

これまで最もよく活用されてきた方式は「YK・TK・中間法人方式」です。匿名組合(TK)は税務上ほぼ無条件にパススルーが認められており、ペイスルー要件の厳しい特定目的会社(TMK)に優ります。ですから匿名組合を活用する点は変わらないはずです。また、ケイマンSPCに代わって活用されるようになった有限責任中間法人も認知度が上がり、こちらも変わらずに活用されるものと考えられます。問題は今まで営業者として使ってきた有限会社の代わりが何かということです。可能性がある(1)株式会社(2)合同会社を順次検討してみます。

(1)株式会社
株式譲渡制限会社、取締役1名、資本金1円、取締役任期10年、として設立すれば今までの有限会社とほぼ変わらない形で使うことができます。資本金1円で設立可能ですから、当事務所のような会計事務所が固有の有限責任中間法人を設立して多数のSPCをぶら下げる形態が予想されます。難点は決算公告が必要な点です。コストもかかりますし、SPCの経営状態が開示されてしまいます。

(2)合同会社
有限責任中間法人を一人社員、資本金1円、職務執行者は有限責任中間法人の理事、として設立することになると考えられます。決算公告不要が大きなメリットです。機関設計も柔軟でSPCに適した組織といえます。

なお、有限責任事業組合をSPVとして活用する方法も別途考えられますが、消費税の観点から採用は困難と考えます。有限責任事業組合は消費税の納税義務者となることができないため、免税、消費税還付、簡易課税の選択を組み合わせる手法をとることが困難なためです。

以上より個人的には、「合同会社・TK・中間法人方式」が一番適していると考えています。

2005年11月16日(担当:平野和俊)

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