2005年11月16日

有限責任事業組合契約(日本版LLP)の税務の概要

日本版LLPとして期待されていた有限責任事業組合契約に関する法律が本年5月6日に公布され、8月1日から施行されています。

共同事業者である組合員全員が有限責任でありながら、組合(事業体)の段階では課税されず、各組合員に直接課税される構成員課税(パス・スルー課税)の適用を受けるため、今後多くの事業で利用されていくことが予想されています。

1.非居住者又は外国法人に対する源泉徴収義務
平成17年度の税制改正により、有限責任事業組合契約などの(所令281の2(1)二)民法組合契約等に係る組合員のうち非居住者又は外国法人が受けるべき利益の分配については、国内源泉所得として、金銭等の交付をした日(計算期間の末日から2月を経過する日までに金銭等の交付がなされない場合には、同日)に20%の税率で源泉徴収が行われることとなりました。ただし、国内に恒久的施設を有する当該非居住者又は外国法人である組合員で一定の要件を満たす者が所轄税務署長の証明書の交付を受け、その証明書を国内源泉所得の支払をする者に提示している場合には、上記の源泉徴収義務の規定が適用されないこととなります(所法180、214)。

なお、この規定は平成17年4月1日以後に開始する計算期間に係る利益の分配について適用されることとなります(所法附則3)。

2.組合員所得に関する計算書の提出義務
組合の会計帳簿を作成・保存する組合員は、各組合員ごとに当該組合員の氏名又は名称、住所又は所在地、組合事業の内容、出資の価額の合計額及び当該組合員の出資額、当該計算期間における分配額、収益・費用・資産・負債の明細等を記載した計算書(別表七(二))をその翌年1月31日までに、当該組合の主たる事務所の所在地の所轄税務署長に提出しなければなりません(所規96の2)。

3.個人組合員の損失の取込制限
有限責任事業組合の個人組合員については、組合事業に係る損失額のうち、出資額を基礎として一定の方法により計算した金額を超える部分の金額は、不動産所得、事業所得又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入されないこととなります。なお、本年度税制改正で設けられた民法組合等の特定組合員等の不動産所得に係る損益通算等の特例(措法41の4の2)と比較致しますと、下記の点が異なります

1.有限責任事業組合契約においては、組合員全員の事業参加を前提としているため、組合員全員が損失の取込制限の対象とされています(対象が特定組合員に限定されていません)。
2.不動産所得だけでなく、事業所得、山林所得も損失の取込制限の対象とされています。
3.損失額のうち、出資額を基礎として一定の方法により計算された金額までの金額については、必要経費算入が認められることとなります(民法組合等については、認められておりません)。

また、個人組合員については、法人組合員の場合(下記参照)と異なり、取込ができなかった損失の額を翌年以後の利益の額と相殺することが認められておりませんので、注意が必要です。

4.法人組合員の損失の取込制限
法人組合員については、組合事業に係る損失額のうち、出資額を基礎として一定の方法により計算した金額については、その事業年度の損金の額に算入されないこととなりますが、その金額(組合損失超過額)は、繰り越されて翌期以後に生じた当該組合事業に係る利益の額と相殺されていくことになります(措法67の1 -2)。

また、相殺しきれない損失の額があった場合において当該組合について清算結了、脱退、その地位の承継その他の事由により当該組合員でなくなった場合には、当該事由が生じた日を含む事業年度において損金の額に算入されることになります(措令39の32 -4)。

2005年11月16日(担当:石渡 正樹)

ページトップへ