2022年12月21日

マンションの相続税評価はどのように改正されるのか?
~令和5年度税制改正大綱を受けて~ 

 令和5年度税制改正大綱によると、マンションの相続税評価について、市場での売買価格と相続税評価額とが大きく乖離しているケースが見られると現状認識した上で、その評価方法について適正化を検討する、とあります。新聞報道でも、2023年に有識者会議を設置して価格の乖離の現状を分析し、早ければ2023年中にも財産評価基本通達を改正する可能性があるとありました(2022年11月30日付日本経済新聞)。それでは具体的にはどのように改正されるのでしょうか。全くの私見ですが、改正内容を2通り推測してみます。

①3年内取得価額課税の復活
 平成8年に廃止された3年内取得価額課税の復活です。現在でも、非上場株式の純資産価額算定にあたっては、課税時期3年以内に取得した土地及び建物を通常の取引価額(時価)で評価することになっていますから、評価実務上の混乱は少ないでしょう。具体的には、個人が相続開始前3年以内に取得したマンション(居住用の区分所有建物及びその敷地)については取得価額で評価するといった具合でしょうか。路線価は公示価の8割程度に設定されていますから、取得価額の8割(又はゴルフ会員権評価の掛け目と同じ7割)とすることも考えられます。

 この評価方法の利点は、取得価額という明確な金額で評価できることですが、取得から3年経過したマンションでは依然として市場価格との乖離が解消されないという問題点があります。

②一般動産の評価方法を参考にする
 マンションは、不動産ではあるが自動車などの一般動産に近いものとして、その評価方法を参考にする考え方です。具体的には、同じマンションの売買実例価額や不動産鑑定評価額が原則的な評価額となります。上記①と同様に評価の安全性を考慮して、これらの評価額の7~8割を評価額とすることも考えられます。

 この評価方法の利点は、マンションの取得時期にかかわらず時価で評価できることですが、売買実例の入手・対象マンションとの比較は手間を要し、また、不動産鑑定では鑑定費用が発生することから、納税者の負担は大きくなります。

2022年12月21日 (担当:平野和俊)

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