2009年1月28日

自社株式の生前贈与についても納税猶予制度が創設されます
~平成21年度税制改正大綱より~

平成20年12月12日に自民党から平成21年度税制改正大綱が発表されました。
事業承継税制関連では、平成20年度税制改正から引き続き検討されてきた「取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度」とともに、「取引相場のない株式等に係る贈与税の納税猶予制度」が創設されたことにより、より柔軟な事業承継のプランニングが可能となりました。本稿では、「取引相場のない株式等に係る贈与税の納税猶予制度」の概要と事業承継実務での活用方法について検討します。

1.取引相場のない株式等に係る贈与税の納税猶予制度の概要

大綱によると

① 後継者が、経済産業大臣の認定を受ける非上場会社を経営していた親族から、贈与によりその保有株式等の全部(贈与前から既に後継者が保有していたものを含めて、発行済議決権株式等の総数等の3分の2に達するまでの部分に限る。以下「猶予対象株式等」という。)を取得し、その会社を経営していく場合には、その猶予対象株式等の贈与に係る贈与税の全額の納税を猶予することとする。

② 贈与者の死亡時には、猶予対象株式等を相続により取得したものとみなして、贈与時の時価により他の相続財産と合算して相続税額を計算する。その際、経済産業大臣の確認を受けた場合には、相続税の納税猶予を適用する。

とされており、一定の要件を満たせば、議決権総数の3分の2までの部分は贈与税の納税猶予を受けながら自社株を後継者に贈与することができます。

 また、贈与者の死亡時には、猶予された贈与税は免除され、贈与税に比べて税負担の少ない相続税が課されることとなりますが、経済産業大臣の確認を受ける等の要件を満たした場合には、今度は相続税の納税猶予制度が適用されることとなります。結果、生前贈与、相続のいずれの時も、議決権総数の3分の2までの部分については、税負担なく後継者に引き継ぐことができるという制度になっています。


2.事業承継実務での活用方法

 自社株式の生前贈与に係る納税猶予制度を使う利点としては、

● 経営者が健在なうちに後継者を定めて贈与することで、計画的な事業承継ができる

● 株式の評価額を贈与時の時価で固定できるため、贈与後に値上がりが期待される場合には、税負担が少なくて済むといったことがあげられます。

また、欠点としては、

● 議決権総数の3分の2を超える部分は相続税よりも税負担の多い贈与税が課される。 といったことがあげられますが、相続時精算課税制度の適用を受けることで、3分の2を超える部分の贈与についても、贈与時の時価で相続税課税とすることが可能です。

 生前贈与についても納税猶予が認められる可能性が高いことは、事業承継を考える経営者の方にとって非常に意義のあることだと思われます。今後定められる法令を待ち、適用要件や手続き等の具体的な取り扱いを確認した上で、円滑な事業承継にご活用いただきたく思います。

2009年1月28日(担当 吉岡 純男)

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