2005年8月 3日

特別目的会社を利用した取引に関する監査上の留意点についてのQ&A(公開草案)が公表されました

日本公認会計士協会(監査・保証実務委員会)は平成17年7月4日に「特別目的会社を利用した取引に関する監査上の留意点についてのQ&A」(公開草案)を公表しています。特別目的会社(以下「SPC」という)に関係する会計基準等として「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針(以下「実務指針」という)」等が既に公表されていますが、最近その取引が急拡大しており、監査上の留意点を取りまとめたとしています(公開草案ですから最終的なものではありません)。従来の取り扱いを変更する内容はありませんが、オフバランス処理及びSPC非連結について今後より厳しく監査されることが予想されます。以下気になる点をピックアップしてみました。

1.SPCの連結
開発型SPCが子会社へ該当するか否か検討を行うに際しては、経営者が採用した会計方針が取引の実態を適切に反映するものであるかどうかについて、実質支配力基準の適用も含め監査人が自己の判断で評価することが必要になる。
出資者及びセラー以外の関係者には財務諸表等規則第8条第7項(以下「SPC特則」という)の適用はないので、本則である実質支配力基準により子会社への該当の判定を行うことになる。
SPC特則が適用されるためには、少なくとも事後的に定款等や当初定められた契約内容の変更が行われていないことが必要である。

2.不動産の流動化
リースバックに加えて他の継続的関与もある場合には、監査上より慎重に検討する必要がある。
SPCの資金調達が借入金と譲渡人からの匿名組合出資でなされているような場合で、不動産のリスクに見合ったリターンを要求している資金提供者が存在していないケースでは、譲渡人が買い戻すことを前提としてスキームが組成されている可能性があることから、その買戻しの蓋然性について慎重に検討する必要がある。
SPCが譲渡人である匿名組合員に支払を留保する配当金は、リスク負担の金額を増加させる追加出資の金額とみなす必要はない。
SPCに対して複数の会社が不動産を譲渡したした場合のリスク負担割合算定式の分母は、自らが譲渡した不動産の時価となる。

2005年8月3日(担当:平野和俊)

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