2005年1月25日

定期借地権の賃料を前払いしたときの取扱いが明確化

~定期借地権が使いやすいものになるというのは本当でしょうか?~

国税庁は平成17年1月7日付で「定期借地権の賃料の一部又は全部を前払いとして一括して授受した場合における税務上の取扱いについて」を公表しました。国土交通省からの事前照会に対する文書回答です。これによると、定期借地権設定時に賃料の全部又は一部を一括前払いした場合において、契約書に前払賃料として取り扱われる旨が明確にされているときは、下記の通り取り扱うこととされています。

1.借地人は支払金額を前払費用として資産計上し、その後期間に対応する賃料相当額を費用化していく。
2.土地所有者は受領金額を前受収益として負債計上し、その後期間に対応する賃料相当額を収益化していく。

つまり50年契約の定期借地権で前払賃料として1億円が授受された場合には、毎年2百万円(1億円÷50年)を賃料化していくということです。注意しなければいけないのは、この取扱いを受けるのは前払賃料であって、権利金や保証金ではないということです。前払賃料は契約が中途解約されたときに未経過分が借地人に返還されますが、権利金は返還対象になりません。また保証金は原則として全額が返還されます。

国土交通省はこの明確化によって、権利金・保証金に係る阻害要因を排除できるため定期借地権制度が非常に使いやすいものになるとアナウンスしています。本当でしょうか?そもそもこの文書回答が「明確化」と表現している通り従前に前払賃料を授受した場合でも課税上の取扱いは同様でした。また前払賃料方式ではなく保証金方式でも同様の効果を得ることは可能でした。上記例でいえば、当初保証金1億円を授受します。賃料を毎年2百万円としますが、保証金の返還義務も毎年2百万円とすれば、毎年の債権債務は相殺されて前払地代と経済効果は同じになります。建物賃貸で利用されている建設協力金方式と発想は同じです。

確かに従前は多額の前払賃料を授受するという発想はなかったので、その意味では画期的と言えるかもしれません。とは言え、定期借地権普及の本質的な解決策として早期に権利金の償却制度が導入されることが望まれます。

前払地代が多額になった場合には、売買とされるリース取引(法令136の3 第1項)や地価低下時の土地簿価一部損金算入(法令138)との関連も気になるところです。

2005年1月25日(担当:平野和俊)

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