UAPレポート
最新の税制改正の動向等、実務に役立つトピックスをお届けしています。
最新のUAPレポート
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2023年9月15日発行
同族会社の株式交付※1が課税されることへの対応は
~令和5年度税制改正を受けて~令和5年度税制改正により、令和5年10月1日以後に行われる株式交付については、株式交付後に株式交付親会社が同族会社※2に該当する場合には、株式譲渡損益の課税繰延措置の適用を受けられないこととなりました。上場会社の個人オーナーが資産管理会社に無税で上場株式を譲渡する方法として悪用されているものに対する規制と言われています。それではこの改正後に、同族会社において株式交付と同様の結果となる他の手法はないものでしょうか。
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2023年8月 1日発行
マンションの相続税評価通達の改正と適用対象建物の範囲
先日、国税庁は、マンションの相続税評価額の算定方法を新たに定める「『居住用の区分所有財産の評価について』の法令解釈通達(案)」のパブコメを開始しました。この通達がこの内容で発遣されれば、2024年1月1日以後、市場価格と乖離していたマンションの相続税評価額が適正化され、マンションを相続する納税者の多くにおいて、税負担が増加することが見込まれます。
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2023年6月 2日発行
信託型ストックオプション税制が明確に
国税庁は、令和5年5月30日付で「ストックオプションに対する課税(Q&A)」を公表して、信託型ストックオプションに係る課税上の取扱いを明確にしました。これまで実務界では、信託型ストックオプションについては、信託が有償でストックオプションを取得していることなどの理由から、役職員がその株式を譲渡した時に株式譲渡所得として分離課税されると解釈して、多くの企業が導入してきました。しかしQ&Aでは、信託型ストックオプションについては、実質的には会社が役職員にストックオプションを付与していること、役職員に金銭等の負担がないことなどの理由から、その経済的利益は労務の対価に当たり、新株予約権を権利行使した時に給与課税されると説明しています。
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2023年5月23日発行
更正・決定等の期間経過後の相続開始前7年以内の贈与でも相続税の課税価格に加算すべきか
令和5年度の税制改正により、暦年課税において贈与を受けた財産を相続財産に加算する期間が相続開始前3年間から7年間に延長されています。
相続税の税務調査に来るのは、相続が発生しておおむね2年が経過した後になることが通常であるため、税務調査時点から遡れば9年以上前の贈与についても加算の有無の調査対象となります。
ところで、税務署長は、申告内容が調査と異なる場合には「更正」、申告書の提出がなかった場合には「決定」を行うことができます。贈与税の更生・決定ができる期間(=除斥期間)は通常の場合は6年、偽りその他不正行為がある場合には7年とされています。
相続開始前7年以内の贈与が、相続税の税務調査時点からみて更生決定等の期間を経過していた場合には、相続財産に加算する必要があるのでしょうか?贈与税の除斥期間はすでに徒過していますから、贈与税が新たに課されることはありません。いわゆる時効を迎えた贈与についても生前贈与加算の対象になるのか疑問が生じます。
この点を明らかにする法令通達等はありませんが、課税実務上、除斥期間を経過した贈与についても相続財産への加算対象にすることとされています。
その理由は、相続税法19条の文言にあります。相続税法第19条には、相続開始前7年以内に被相続人から贈与によって取得した財産を相続財産に加算する旨規定されているのみで、その加算される贈与財産に係る贈与税額それ自体につき更正の期間を徒過したものを除く旨の除外規定がないから※1です。
したがって、相続発生前7年以内の贈与であれば、申告の有無や贈与税が課税されたか否かを問わず、すべて加算することになります。
※1 国税不服審判所・昭和57年1月20日裁決。この裁決は改正前の「相続開始前3年以内の贈与」に係るものですが、令和5年の税制改正後も除外規定が定められていないため、改正後においても規範性があると考えられます。
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