2020年7月30日

ソフトバンク税制で適用対象外とされた内国法人からの配当&株式譲渡損

 令和2年度税制改正により、いわゆるソフトバンク税制が導入され、「法人が外国子会社株式等を取得した後、子会社から配当を非課税で受け取るとともに、配当により時価が下落した子会社株式を譲渡すること等により、譲渡損失を創出させる国際的な租税回避」が封じられることとなりました※1

 益金不算入となる配当と株式譲渡損を組み合わせた節税(租税回避?)は、従来から当局が問題視してきたところであり、平成22年度税制改正により(1)100%グループ内法人のみなし配当発生時の株式譲渡損益不計上、(2)自己株式取得予定株式に係るみなし配当不適用、(3)抱合株式譲渡損益不計上などの措置が講じられましたが、課税対象が限定されており、節税策の余地があることは明白でした。

 今回のソフトバンク税制では、ソフトバンクグループが外国子会社であるアーム・ホールディングスを活用して株式譲渡損失を創出した点を問題視して導入されました。従って、内国子会社※2からの配当&株式譲渡損については適用対象外とされています。この理由について、財務省ホームページ『令和2年度 税制改正の解説』によると、「旧法人においても配当法人の留保利益の蓄積に対応する部分に対して株式譲渡益課税が行われる」ことから、「現株主における譲渡損失の計上を認めるという現行の取扱いには一定の合理性がある」ためであると説明されています。

 それでは、内国子会社から配当を非課税で受け取るとともに、配当により時価が下落した株式を譲渡して譲渡損失(損金)を計上しても、何の問題もないのでしょうか?一連の行為に正当な理由や事業目的がない場合には、伝家の宝刀「行為計算否認規定(法法132)」により認められない可能性があると考えます。

2020年7月30日 (担当:平野和俊)

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※1 令和2年4月1日以後開始事業年度分の法人税について適用されます。

※2 正確には、設立から支配関係発生までの間において株式等の90%以上を内国株主によって保有されている内国普通法人(法令119の3⑦一)。

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