2007年8月29日

中間法人に対する基金拠出も集団投資スキーム持分と認定される可能あり~金商法パブコメに対する金融庁の考え方より~

金融庁は平成19年7月31日付にて「金融商品取引法制に関する政令案・内閣府令案等」に対するパブリックコメントの結果等を公表しました。
この中で倒産隔離性を実現することを目的とする有限責任中間法人に対する基金拠出に係る権利について、「集団投資スキーム持分」から一律に除外されるものではないことを明確にしました。
有限責任中間法人に関しては、残余財産分配を通じて収益を還元することが可能であり、投資ビークルとして活用される可能性があるためと説明されています。
これにより、合同会社等の社員権等を有する既存案件の有限責任中間法人については、原則として「投資運用業」の登録が必要になります。

但し、有限責任中間法人の定款において、基金には利息を付さず、かつ、基金拠出者に対してその拠出した額を超えて残余財産の分配を行わない旨の規定が置かれている場合には例外条項に該当して「集団投資スキーム持分」には該当しないと説明されています。
また、残余財産分配については定款に記載がなくても、基金拠出者に基金拠出額を上回る残余財産分配が行われないように契約等で手当てする方法も考えられると説明されています。

従いまして、既存案件に係る「投資運用業」登録が必要となる有限責任中間法人につきましては、施行日(平成19年9月30日)までに上記のように契約等で手当てするか、経過措置に則り特例投資運用業務を行う者として施行日から3ヶ月以内に一定事項を届け出る必要があります。

また、施行日以後に基金拠出される有限責任中間法人につきましては、上記同様に契約等で手当てするか、そもそも定款において、基金には利息を付さず、かつ、基金拠出者に対してその拠出した額を超えて残余財産の分配を行わない旨を規定しておく必要があると考えられます。

現実的に有限責任中間法人が残余財産の分配を行うことは考えにくいのですが、法令上のたてつけから、上記のような対応を迫られることになります。金商法施行の影響でこんなところまで対応しなければいけないようです。

2007年8月29日(担当:平野 和俊)

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