2004年10月 4日

不動産譲渡に係る繰越損失に要注意

~平成15年度の不動産譲渡繰越損失を平成16年度の不動産譲渡益から控除することはできません!~

平成16年度の税制改正で平成16年1月1日以後の居住用以外の土地建物の譲渡により発生した譲渡損失は、他の所得との損益通算ができなくなり、かつ翌年以後3年間の繰越も認められなくなりました。

平成15年末にこの税制改正内容が公表されると、多くの方が駆け込みで平成15年中に不動産を売却して損失計上しました。損益通算しきれずに繰り越された損失をお持ちの方も多いでしょう。ではこの繰越損失は今年のどの所得から控除することが可能なのでしょうか。

実は平成15年度から繰り越された損失は、土地建物の譲渡所得以外の所得から控除することは可能ですが、土地建物の譲渡所得から控除することはできません。改正前の租税特別措置法31条5項2号では、繰り越された損失を控除できる所得として土地建物の譲渡所得を含める旨が規定されていましたが、改正後の租税特別措置法31条ではこの規定がなくなったことによるものです。

平成16年度税制改正でも、同一年中の土地建物の譲渡に係る所得は通算が認められていますので、前年から繰り越された土地建物譲渡損失も当然に控除できると誤解されている方も多いようです。留意したいものです。

2004年10月4日(担当:平野和俊)

ページトップへ