2004年10月 4日

航空機リース投資による株価引き下げ&生前贈与で否認事例が出ました!

平成16年9月12日付朝日新聞(東海版)によると名古屋国税局は、匿名組合契約を利用した航空機リース事業への投資に係る損失を活用した法人課税所得繰り延べと株価引き下げに伴う自社株贈与を「法人所得を減らして株式の評価額を下げ、贈与税の圧縮を狙った租税回避にあたる」と認定して追徴課税したとのことです。

航空機リース投資は、一般的に「レバレッジドリース」又は「オペレーティングリース」と呼ばれ、法人の課税繰り延べ商品として有名なものです。多くの法人が法人税節税目的で購入しています。航空機リース投資による株式評価額引き下げ対策も比較的ポピュラーな株価対策です。航空機リース投資は初期に多額の損失を計上できるため、一時的に課税所得を圧縮して類似業種比準価額を引き下げるという対策です。相続対策の書籍等でも堂々と紹介されています。

では否認の根拠は何でしょうか。ニュースソースが同新聞の記事だけなので詳細は不明ですが、出資者が事業に参加していないことを理由に匿名組合契約自体を否認したようです。商法の匿名組合は特約がない限り出資者は業務執行に参画できないと解されていますので、この根拠だけによる否認は難しい気がしますが、国税当局がこうした「課税逃れ商品」に対して断固たる姿勢をとっていることがわかります。

リース商品といえば、個人の航空機リース投資が実質的に金融取引であるため不動産所得ではなく雑所得であるとして損益通算が否認され(平成4年12月9日裁決)、また最近では個人の船舶リース投資が船舶売却時に損益が確定するものであるから売却時までの賃貸事業損益は各年の不動産所得に該当しないものとして損益通算が否認(平成16年3月30日裁決)されています。

タックスプランニングと租税回避の区別がますます重要になってきました。

2004年10月4日(担当:平野和俊)

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