2018年11月20日

CRSによる海外口座情報交換制度がいよいよ始まる。55万件は多いか少ないか?

 国税庁は、2018年10月にCRS( Common Reporting Standard:「共通報告基準」)に基づき、日本の居住者が外国に保有する金融口座情報約55万件を9月に受領したと公表しました。CRSは、非居住者として各国に保有されている金融口座情報(氏名、住所、口座残高、年間利子額など)を、税務当局間でほぼ網羅的に自動交換するもので、日本においては2018年9月に初回交換が実行されるとして注目されていました。

 日本に提供された金融口座情報の約5割がアジア・大洋州から、約4割が欧州・NIS諸国からとされており、北米・中南米からは約1割と極端に少なくなっています。これはCRSに米国が参加していないためで、多くの日本人が米国の金融機関に持っている口座の情報は国税庁に提供されておりません。

 また、2016年12月末までに外国に開設された低額個人口座(残高100万USドル以下)や法人口座は、2019年からの交換提供とすることも認められていますが、米国以外の高額個人口座(残高100万USドル超)だけで55万件もあるというのは考えにくいですから、相当数の低額個人口座や法人口座も含まれていると推測されます。いずれにしても、2016年末の国外財産が5千万を超えるとして国外財産調書を提出している人はわずか9,102人に過ぎませんから、今後相当数の隠し財産、隠し所得があぶり出されることと思われます。

2018年11月20日 (担当:平野和俊)

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