2014年2月17日

ゴルフ会員権の損益通算が遂に廃止~平成26年度税制改正法案より~

 平成26年度の税制改正により、平成26年4月1日以降、個人が所有するゴルフ会員権を譲渡した場合に生じる譲渡損を、給与所得や事業所得等と損益通算することができなくなります。

 ゴルフ会員権譲渡についての他の所得との損益通算の廃止については、以前から議論されていたものの、ずっと見送りになっていましたが、ついに規制がかかります。そもそも所得税法では、生活に通常必要でない資産、つまり美術品や競走馬等の奢侈品に係る所得の計算上生じた損失は損益通算できないとしており、ゴルフ会員権の規制も仕方がないのかもしれません。

 従って、ゴルフ会員権の譲渡損にて他の所得との損益通算を検討している方は、平成26年3月までに譲渡を行う必要があります。

 そこで、手っ取り早く含み損を実現させるために、自身がオーナーとなっている法人にゴルフ会員権の譲渡を行うことを検討されている方もいるかもしれません。しかし同族間の取引については、その譲渡に際し特に客観性が求められますので、下記につき留意する必要があります。

 一つ目はゴルフ会員権の譲渡価格は時価(市場価格)によることです。仮に低額譲渡として税務上認定されれば、譲渡者側である個人について適正時価との差額分につき、その譲渡損が否認されますし、法人側でも差額分だけ受贈益の計上を求められる可能性があります。

 二つ目は名義変更を行うことです。譲渡代金分の資金移動だけでは、税務上否認される可能性がありますので、名義書換料を取得者である法人が支払い、きちんと名義書換を行う方が安全と言えます。 また取得した法人側でも、法人会員・個人会員問わず、役員等が業務外で利用するものであれば、給与課税されますので十分留意して下さい。

 その他留意点としては、そもそも売買が可能なゴルフ会員権は、通常は「預託金会員制」および「株主会員制」の2種類です※1ので、保有しているゴルフ会員権が上記に該当するかどうか必ず確認してください。

 ゴルフ会員権の譲渡に際しては、譲渡代金より名義書換料が高額になるケースもあります。ですから、まずはゴルフ会員権を譲渡することでの譲渡者側での所得税の節税額と、法人側での取得することで発生するコストを勘案してから、譲渡を実行するべきでしょう。

2014年2月17日 (担当:齊藤啓明)

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※1 「社団会員制」は、一般的に定款等により譲渡が原則として禁止されています。

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