2008年6月30日

資本金等の額が多額の会社は株価算定に要注意

平成18年10月27日付財産評価基本通達の一部改正により、類似業種比準価額の計算について、類似業種の株価及び各比準要素の数値は、従来の「資本金の額」ではなく、法人税法第2条第16 号に規定する「資本金等の額」により「1株当たりの資本金等の額を50 円とした場合の発行済株式数」を計算し、その株式数を基に算出することとされました。

これは、会社法の施行により、株式会社の資本金の額が1,000 万円を下回ることを禁止した最低資本金制度がなくなり、資本金を資本準備金等に振り替え、資本金の額をゼロとすることも可能となったための改正であると説明されています。
そもそも類似業種比準価額は、1株当たりの資本金等の額を50 円とした場合の比準価額に、1株当たりの資本金等の額の50 円に対する倍数を乗ずることにより算出されるため、原則として資本金等の額の多寡が類似業種比準価額に影響を与えることはありません(比準要素としての影響はもちろんあります)。
しかし資本金等の額が多額となる会社は、端数処理の関係で比準要素数1の会社に該当する可能性が高くなっています。例えば資本金等の額が10億円の会社は「1株当たりの資本金等の額を50 円とした場合の発行済株式数」が2,000万株となりますので、年配当金額が200万円を下回るときは、「1株当たりの年配当金額」が10銭単位未満切捨てで0となります。同様のケースで年利益金額が2,000万円を下回るときは、「1株当たりの年利益金額」が円単位未満切捨てで0となります。
上場企業の持株会社としてクロス取引により設立した会社、A社B社方式により設立した会社、DESをした会社、組織再編をした会社は、資本金等の額が多額となっている可能性がありますので、再度株価を見直したほうがよさそうです。またこれから組織再編等の予定がある会社は、当該事由による株価への影響に留意したいものです。

2008年6月30日(担当:平野和俊)

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