2021年4月22日

M&Aで株式を買うと7割が損金になる制度の創設
~令和3年度税制改正~

 令和3年度税制改正により、一定の中小企業者が10億円以下の株式をM&Aで購入した場合に、その購入金額の7割を損金算入できる「中小企業事業再編投資損失準備金制度」が創設されました。具体的には、M&Aに関する経営力向上計画の認定を受けた中小企業者が、購入金額10億円以下で取得した株式の7割以下の金額を中小企業事業再編投資損失準備金として積み立てたときは、その積立金額を損金算入できるとするもので、計画の認定期限は令和6年3月31日とされています(措法55条の2)※1

 このように将来的に企業買収を検討している中小企業にとっては、大変興味深い制度が創設された訳ですが、ポイントは「M&Aに関する経営力向上計画の認定」が受けられるのかということになります。現在国会で審議中の改正中小企業等経営強化法の法案を見ますと、経営力向上計画の任意的記載事項として、譲り受けようとする企業の財務状況等に関するデューデリジェンスが追加されている程度ですから、それほど難易度は高くないのかもしれません。M&Aのターゲットが決まって、デューデリジェンスの実施検討に入った中小事業者であれば、認定申請してみる価値はありそうです。

 ちなみに、この準備金制度を利用できるのは、株式購入による場合だけが対象とされており、事業譲受による場合は利用できませんので注意が必要です。

2021年4月22日 (担当:平野和俊)

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※1 積み立てた準備金は5年の据置期間終了後、原則として、5年間で均等額を取り崩して益金算入する必要があります。

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