2019年12月19日

国外中古建物を利用した節税策を封じる税制改正の内容が明らかに!
~令和2年度税制改正大綱より~

 令和2年度税制改正大綱が12月12日に公表され、いわゆる「国外中古建物節税策」が封じられることとなりました。

 「国外中古建物節税策」とは、多額の給与などがある個人が、主として米国で賃貸用木造中古建物を購入して不動産所得を赤字とし、これを給与所得などと通算する節税策です。この節税策では、いわゆる簡便法によって木造中古建物の耐用年数を4年として多額の減価償却費を計上している場合が多いことから、簡便法を利用した損益通算は認めない、という改正内容になっています。

 具体的には、「個人が、令和3年以後において、国外中古建物の減価償却費を簡便法により計上した場合において国外不動産所得が損失(赤字)となるときは、国外中古建物の償却費に相当する損失は生じなかったものとみなす(損益通算等できない)」という改正内容になっています。この改正における留意点は下記の通りです。

・令和2年以前に国外中古建物を取得していても、令和3年分からは改正内容が適用されます。

・法定耐用年数で減価償却費を計上すれば、改正の対象とはなりません。

・令和2年度税制改正大綱には、個人を対象とした改正内容だけが記載されており、法人については言及されていません。

・見積法によった場合でも、見積耐用年数が適切であることを証する書類が添付されないときは、改正の対象となります。

・国外中古建物の所在地国の法令による耐用年数は、適切な見積耐用年数として認められ、改正の対象外とされるようです。

・なかったものとされて損益通算できなかった償却費相当額は、将来国外中古建物を譲渡した場合において、取得費として譲渡益から控除できます。

2019年12月19日 (担当:平野和俊)

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