2019年8月 6日

不動産管理・賃貸業の株式を移転するなら令和元年は狙い目か?

 2019年6月に発表された令和元年分の類似業種比準価額計算上の業種目別株価をよく見ると不動産賃貸業・管理業の株価が大きく下落していることが分かります。現時点で公表されている内最も新しい4月時点の株価を、前年平均株価と比較した下落率は、どの業種よりも一際大きい36.5%となっています。

 また、不動産賃貸業・管理業は株価が大きく下落している一方で、類似業種比準価額を計算する際の比較要素である類似業種の配当金額、利益金額、簿価純資産価額は前年比で大きく上昇していることから、取引相場のない株式を計算する際の株価はより一層低くなる傾向にあります。具体的に不動産賃貸業・管理業に属する評価会社を1株当たり配当金額、利益金額をそれぞれ1円、純資産価額を100円として各年の最も低い類似業種比準価額を計算してみると、下記の表のとおり2019年の類似業種比準価額は日経平均株価が一時1万円台前半をつけていた2013年に近い水準まで下落していることが分かります。

 このように不動産賃貸業・管理業の株価が大きく下落した要因としては、顧客が金融機関で借入を行う際の預金残高の改ざんで問題となった㈱TATERUや違法建築が問題となった㈱レオパレス21等、不動産賃貸業・管理業に属するであろう会社に立て続けに大きな問題が生じていることが考えられます。こうした不動産賃貸業・管理業の株価下落が業界全体の傾向として今後も継続するのか、不祥事を起こした一部の会社が標本から除外される等して一過性の現象にとどまるのかは分かりませんが、今後の株式マーケットの展開次第で不動産賃貸業・管理業に属する取引相場のない株式の売買・贈与等の実行を計画している方にとっては、目が離せない状況が続きそうです。

2019年8月6日 (担当:吉田暁弘)

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