2018年1月11日

フィクション「家なき子」は同情されず
~特定居住用宅地特例の対象見直し~

 平成29年12月14日に発表された平成30年度税制改正大綱では、持ち家に居住していない者に係る特定居住用宅地等の特例の対象者が見直されることとされています。

 具体的には、被相続人の居住用に供されていた宅地等について相続税の計算上8割の評価減を受けることが可能な小規模宅地等の特例に関して、いわゆる"家なき子"の対象者が次のように変わります。

この改正によって、次のような節税策が不可能となります。

・持ち家を持っている子ではなく、その子と同居する孫が被相続人の自宅を取得(相続開始前3年以内に3親等の親族所有の家屋に居住したことあり)

・持ち家は持たないが、同族会社で購入した家屋に社宅として居住している子が被相続人の自宅を取得(相続開始前3年以内に同族会社所有の家屋に居住したことあり)

・持ち家を持っていた子が、自分の持ち家を一般社団法人に売却したものの引き続き借り受けて住み続けている状態で相続により被相続人の自宅を取得(相続時に居住していた家屋を過去に所有したことあり)

 つまり、実質的に持ち家があると言える状態であるにもかかわらず、作為的に持ち家がない状態を作り出していると言えるようなケースにおける小規模宅地等の特例利用について規制をかけようということが今回の改正の趣旨です。

 上記改正は平成30年4月1日以後の相続又は遺贈から適用開始の予定です。どうしても小規模宅地等の特例の適用を受けたい方は、頑張って親と同居か、最低三年以上のいつ終わるか分からない賃貸暮らしか。3年以上賃貸暮らしの孫への遺贈は可能ですが、相続税の2割加算があります。

2018年1月11日 (担当:吉田暁弘)

 

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