2019年8月 7日

生命保険契約が満期や解約となった場合の借入金の利息の取扱い

 生命保険契約の保険料を負担した個人が満期や解約により一時金を受け取った場合には、収入金額からその収入を得るために支出した金額(収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限られます。)と特別控除額50万円を控除した金額が、一時所得として課税されます※1

 ここで、所得税法施行令第183条2項2号において、生命保険契約に係る保険料の総額は、その年分の一時所得の金額の計算上、収入を得るために支出した金額に算入するとされているため、支払った保険料の総額だけが収入を得るために支出した金額に算入できると理解している向きも多いかもしれません。

 しかし、保険料の総額のみならず、収入を生じた原因の発生、すなわち、保険契約の締結と直接関係性を有しているものであれば、収入を得るために支出した金額に含まれることになります。実際に平成22年2月19日の国税不服審判所の裁決においても、保険料の支払いに充てる目的で借り入れた借入金の利息については、収入を得るために支出した金額に含まれるものとされております。

 ちなみに、実務上注意が必要なのは、数十年にわたって保険契約を締結していた場合に、その期間の借入金の利息の全てを正確に把握しておかなければならないという点です。

 この期間の借入金の利息は、毎年の確定申告で利用することはありませんので、正確に把握しておくことが忘れがちになりますが、数十年後にまとめて収入を得るために支出した金額に算入することになりますので、くれぐれも利息計算書等の根拠資料を紛失することがないように注意しましょう。

2019年8月7日 (担当:桑田洋崇)

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※1 金融類似商品は源泉分離課税となります。

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