2019年4月12日

配偶者居住権に係る小規模宅地特例の適用関係が明らかに

 平成31年3月29日に平成31年度税制改正に係る政省令が公表され、配偶者居住権に係る小規模宅地特例の適用関係が明らかになりました。

 まず、配偶者居住権に基づく「敷地使用権」、そしてその敷地使用権が設定された言わば「底地」のどちらも小規模宅地特例の対象となる宅地等に該当します。そして、その場合における適用対象面積は、各資産の評価額により按分計算することとされました(新措令40の2⑥)。例えば自宅の敷地が300㎡、敷地使用権の評価額が2,000万円、底地の評価額が3,000万円とすると、敷地使用権の適用対象面積は120㎡(300㎡×2,000万円÷5,000万円)、底地の適用対象面積は180㎡(300㎡×3,000万円÷5,000万円)となります(配偶者居住権に係る評価方法は2019年1月16日付UAPレポート「配偶者居住権、負担付遺贈と受益者連続型信託」参照)。

 ここで注意したいのは、配偶者居住権に基づく「敷地使用権」は配偶者が相続取得するため当然に特定居住用宅地等に該当して80%減額を受けられますが、「底地」が特定居住用宅地等に該当するためには、取得者が同居親族等に該当する必要があるということです(措法69の4③二)。従いまして遺産分割時において、同居親族等が居ないため「底地」部分について小規模宅地特例が受けられないのであれば、配偶者居住権の設定はやめようという選択肢も出てきそうです。

2019年4月12日 (担当:平野和俊)

ページトップへ