2017年12月19日

一般社団法人等を活用した相続対策で見直しが必要に
 ~平成30年度税制改正大綱より~

 平成29年12月14日に公表された平成30年度税制改正大綱によると、親族※1が理事の過半を占める一般社団法人等※2において、理事(相続開始前5年以内に退任している理事を含む。)が死亡した場合には、一般社団法人等がその純資産額(親族理事が複数いる場合にはその数で除した純資産額)を、被相続人から遺贈により取得したものとみなして、相続税が課税されることとなりました。この改正は平成30年4月1日以後の理事死亡から適用されますが、同日前に設立された一般社団法人等については、平成33年4月1日以後の理事死亡から適用されます。

 現行の制度では、一般社団法人等には株主や出資者という概念がないことから、理事の変更によって実質的に一般社団法人等の支配権が子供などに承継された場合でも、相続税の課税対象とはなっていません。そのため、この制度を活用(悪用?)した相続対策が喧伝され、これを税務当局が問題視しての改正となりました。

 今回の改正により、既に一般社団法人等を活用した相続対策を導入した方々は、その見直しが必要となるわけですが、ポイントは下記となります。

1.親族が理事の2分の1以下であれば相続税の対象とならない。
2.親族理事が多数就任していれば、頭割りとなるため、相続税の対象となる金額は減る。
3.理事を退任して5年を経過すれば、相続税の対象とはならない。
4.生前の理事退任時に贈与税が課税されることはないようである※3
5.監事であれば、相続税の対象とならない。

2017年12月19日 (担当:平野和俊)

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※1  正確には、対象理事の配偶者、3親等内の親族又は対象理事が会社役員となっている会社の従業員等の特殊関係者をいいます。

※2 一般社団法人又は一般財団法人(公益社団法人等、非営利型法人その他一定の法人を除く。)のことをいい、相続開始前5年以内において、親族が理事の過半を占める期間が3年以上である一般社団法人等を含みます。

※3  税制改正大綱にはこの相続税課税を補完する贈与税課税を導入する旨の記載はありませんが、「その他所要の措置を講ずる。」とされていることから、正確には法案を確認する必要があります。 

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