2017年8月14日

<事例で確認する広大地評価の変更による影響>

 平成29年度税制改正大綱に記載された「広大地の評価について、現行の面積に比例的に減額する評価方法から、各土地の個性に応じて形状・面積に基づき評価する方法に見直すとともに、適用要件を明確化する。」という文言に基づいた財産評価通達の改正案に対するパブリックコメント※が2017年7月21日に締め切られ、近く発遣される見込みです。この改正案によると、広大地評価の適用要件が明確化され、広大地に該当するかどうかの判断が容易になる一方で、評価の減額効果は縮小が見込まれます。ここでは、具体的な事例に基いて、改正の評価額に与える影響を確認したいと思います。

事例1

 既存の広大地補正率は地積に応じて0.35~0.575(500㎡未満で適用を受けられる場合を除く)と低い値であるのに対して、新しい補正率(規模格差補正率)は、約0.64~0.8と既存の補正率と比較して高い値となりますので、広大地に対する評価額が大きく増加しています。

事例2

 既存の広大地補正率を適用する場合、正面路線以外の他の道路付きは評価に影響しませんが、新評価の場合は事例2のように敷地に接する路線が多い場合、事例1と比較しても評価額が更に上昇しています。

事例3

 既存の広大地補正率を適用する場合、土地の形が歪んだいわゆる不整形地であるかどうかは評価に影響しませんが、新評価の場合には規模格差補正率に加えて不整形な土地に対する評価減が働きますので、不整形な土地については改正による広大地の評価額の上昇の影響が少なくなります。

 この改正は、平成30年1月1日以後の相続、遺贈又は贈与により取得した財産の評価について適用するとされています。既存の広大地補正率の適用が可能な方は、年内の贈与も一考です。

2017年8月14日 (担当:吉田 暁弘)

1 ※「財産評価基本通達」の一部改正(案)に対する意見公募手続の実施について

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