2010年8月 2日

納税者有利に改正された45%控除
~純資産価額方式における法人税等相当額~

 平成22年度税制改正における清算所得課税廃止(法人税法)を踏まえて財産評価基本通達が改正されました。これまで、非上場株式を評価する場合の純資産価額方式における法人税等相当額は、含み益に42%を乗じていましたが、平成22年10月1日からは含み益に45%を乗ずることになります。

 改正前の清算所得課税の法人税率は27.1%とされていましたが、改正後は清算中の会社でも通常事業年度と同様に課税するとして法人税率は30%となったため、その差額約3%が上乗せされたものです。

改正後の45%

≒30%(法人税)+5.19%(法人住民税)+9.593%(事業税・地方法人特別税)

 ここで、改正前の法人税率が27.1%だった理由を考えると、清算所得課税では、通常事業年度と異なり清算所得から発生する事業税を損金算入する機会がないため、その税効果相当分だけ税率を下げていました。これに対して改正後は、清算中の法人についても通常事業年度の法人税率30%が適用されると共に、最後事業年度の所得に対する事業税は、その最後事業年度の損金とされることになりました(法法62の5⑤)。

 従いまして、最後事業年度の法人税等実効税率は、事業税の損金算入効果を考慮した(1-9.593%)×(30%+5.19%)+9.593%≒42%となりますが、そのような考え方ではなく、単純に3%を上乗せする納税者有利な改正内容となっています。


2010年8月2日 (担当:平野 和俊)


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