2005年2月22日

最高裁判決により取扱い変更!

~相続・贈与時の名義変更費用が譲渡所得の取得費に含められることになりました~

最高裁は平成17年2月1日に、父から贈与を受けたゴルフ会員権の譲渡所得算定にあたり、贈与時に支払った名義書換手数料を「資産の取得に要した金額(所法38条1項)」として収入金額から控除されるべきものと判示しました。これは贈与・相続により資産を取得した者の譲渡所得の計算において「その者が引き続きこれを所有していたものとみなす(所法60条1項)」とする規定を根拠に、受贈者・相続人が支出した名義変更費用の取得費への算入を認めてこなかった課税庁の従来からの取扱いを否定するものです。最高裁は所法60条1項の規定の本旨は増加益に対する課税の繰延べにあり、受贈者の付随費用を取得費に算入しないことまでも規定したものではないと結論づけています。

国税庁はこの判決を受けて、早速課税上の取扱いを変更する旨の「贈与・相続により取得した資産を譲渡した場合の譲渡所得の取得費について」(PDF)を公表しました。贈与・相続の際に支払われる不動産登記費用、不動産取得税、名義書換手数料などの名義変更のための費用は譲渡所得計算上の取得費となる旨が明記されています。

そしてこの取扱いは今回の確定申告から認められるだけでなく、減額更正処分の嘆願書の提出があれば平成11年分の所得税まで遡って認められるとしています。平成11年分所得税の更正期限は平成17年3月15日までですから急いで対応する必要があります。しかもこの期限は税務署が更正できる期限ですから、この日までに嘆願書を提出すれば大丈夫というものではありません。この点について日本税理士会連合会は、「遅くとも3月10日頃までに嘆願書を提出する必要がある」とホームページ上に記載しています。

注意が必要なのは5%の概算取得費を採用している場合です。この場合には従来通り名義変更費用をその概算取得費に加えることはできません。

2005年2月22日(担当:平野和俊)

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