2004年10月25日

会社法改正は流動化SPVにどのような影響を与えるか

~会社法改正で有限会社が設立できなくなります~

不動産や債権の流動化にあたり、オリジネーターと呼ばれる原所有者から資産を購入して保有するSPV(Special Purpose Vehicle:特別目的器)として最もよく利用されているのが有限会社です。これは株式会社と比較して下記のメリット持つからと言われています。

・最低資本金額が300万円と少ない(株式会社は1,000万円)
・役員は取締役1名で足り任期もない(監査役の選任不要)
・会社更生法の対象とならない
・決算公告が要らない
・社債を発行できない

ところが平成18年4月1日に施行される見込みの新会社法では、有限会社制度がなくなり株式会社制度に一本化されることになります。といっても有限会社的な株式会社の設立は可能ですので、新会社法の下では次のような特徴を持つ株式会社を資産保有SPVとして設立することになると考えられます。

・株式譲渡制限会社とする
・最低資本金額の制限なし(資本金1円でも設立可能)
・役員は取締役1名で足りる(監査役の選任不要)
・取締役の任期は10年の範囲内で定款に規定
・会社更生法の対象となる(会社更生法の改正がない限り)
・決算公告が要る
・事後設立の場合の検査役調査は不要
・社債を発行できる

現在の有限会社と比較してデメリットもありますが、総じてメリットが多くなると思われます。改正のデメリットを避けるために倒産隔離のために利用している有限責任中間法人を資産保有SPVとして活用する場合も出てくるでしょう。

なお、既存の有限会社については強制的に株式会社に変更させられるのではなく、原則として株式会社制度の適用を受けつつも、「有限会社」の文字使用その他の各種メリットを一定の経過措置によって受けられる見込みです。

(注)会社法改正の内容は「会社法制の現代化に関する要綱案(第二次案)」によっています。

2004年10月25日(担当:平野和俊)

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