2004年10月 4日

HP上の電子公告で個別催告が不要に!迅速な合併や分割を可能にする商法改正

合併や減資を行うときに、「もっとも面倒な手続はなんですか?」とよく聞かれます。ほとんどの実務の専門家は、それに問いに対して、「債権者保護手続の個別催告です。」と答えます。

この面倒な個別催告が原則として不必要になる商法改正が先般行われ、平成17年2月1日(施行見込み)以降、HP上の電子公告、または、日刊新聞紙による公告を行えば、個別催告をしなくてもよくなります。

合併や減資によって債権者がその債権の取り立てができなくなるという事態は、一般的にそんなに多くはありません。しかし、そういう事態に備えて、債権者が異議を言うという手続が商法に設けられています。

会社が合併・減資・法定準備金減少・会社分割を行う場合に、債権者に合併をしようとしているということを知ってもらう方法として、現行法では原則として、(1)官報公告をする、あわせて、(2)わかっている債権者にはすべてあまねく個別に催告(=個別催告)をする、ことになっています。

例外として、合併と会社分割(吸収分割)の承継会社についてのみ、官報に加えて、日刊新聞紙による公告も行った場合は、債権者に対する個別催告を省略することが認められています。

個別催告では、会社が把握しているすべての債権者に対して、「当社はこれから合併します、文句のある人は1ヶ月以内に申し出てください」という書類を送付しなければなりません。これを避けるため、合併で例外措置をとり、日刊新聞紙に公告を打つのも大きな費用がかかります。このように手間ヒマをかけて個別催告しても、異議を述べる債権者はほぼ皆無であるのが実態です。そこで、現在では、コストを嫌って、法に違反するものの、あえて個別催告を行わないケースも少なくありません。これほど非効率な制度はないと誰もが文句を言うのは当然でしょう。

こんなに悪評高い個別催告ですが、平成17年2月1日施行見込みの改正商法によって簡素化されることになりました。

すなわち、株式会社・有限会社等が合併,資本減少,準備金減少,会社分割に際して行う債権者保護手続について、「官報公告+日刊新聞紙公告」か「官報公告+電子公告(HP)」のいずれかを選択することにより、面倒な個別催告を省略できます。

このことにより、機動的な組織再編や減資を実行することが容易になります。組織再編のハードルはどんどん低くなってきています。経営の選択肢としての活用が期待されるところです。

2004年10月4日(担当:後 宏治)

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